研究課題/領域番号 |
20K04592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
小山 真司 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (70414109)
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研究分担者 |
荘司 郁夫 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00323329)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 固相接合 / 金属塩生成接合法 / 環境調和 / アルミニウム合金 / ガラス繊維強化PA66 / 液相拡散接合 / インサート金属 / アルミニウム / 銅 / 電子風 / 精密部品加工 / 電子・電気材料 / 電子デバイス・機器 / 鋼美緒都度実装 / 省エネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
電子実装分野においては,研究の主体が実装技術の開発やはんだ材料自身(高温強度や疲労特性)にあり,はんだと基板配線間の接合界面についての報告例は,その重要性に対してあまりにも少ない.本研究では,接合界面の微細構造と接合強度の関係を明らかにすることで,これからの接続部に対して有益な知見を得ることを目的としている.またフラックスは,被接合金属面の酸化物を化学的に除去し,はんだと被接合面の親和性を高めると一般的に考えられているが,その改善機構は明解ではなく,所望の効果が得られない実例が多数報告されている.本研究では,有機酸による表面改質効果を化学的に検証・証明することで,その改善機構を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究は、電子デバイス製造プロセスの中でも接合に関するもので、次に示す3つの課題を解決するために検討を進めてきた。(1)従来のはんだ・ろうを用いた溶融接合と異なり、部分溶融あるいは固相接合を達成することにより、電子実装の高密度化と微細接合を実現し、接合部の反応層の成長を電子風などにより制御することで、接続信頼性向上を目指す。(2)接合表面酸化皮膜を金属塩の生成・分解反応を用いることで、フラックスレス・無洗浄を実現し、同種・異種の金属あるいは樹脂との直接接合を目指す。(3)接合表面あるいは接合界面における物理化学的現象の解明と、金属塩被膜の熱分解挙動の可視化による標準接合技術化を目指す。 これら3つの課題について、酸化皮膜を金属塩に置換・除去し、接合中の加熱により金属面を露出させる金属塩生成接合法を種々の接合部に適用し、その効果を検証した。 A6061アルミニウム合金どうしの真空固相接合において、接合表面改質に食品添加物としても使用される炭酸ナトリウム水溶液を用いることで、より低温から引張せん断強度が向上し、未処理の場合と比較して約2倍の強度が得られた。続いてギ酸を用いた金属塩被膜処理を施すことで、未処理の場合に比べて約3.5倍の強度が得られた。さらに、ギ酸塩被膜処理に用いるギ酸濃度を低下させても、処理効果が変化していないことから、環境調和型の接合表面前処理であることが明らかとなった。 A5052アルミニウム合金とガラス繊維強化PA66の熱圧着による引張せん断強度向上に及ぼすギ酸による改質効果を調査した結果、PA66側をギ酸に浸漬することで、わずかに強度が向上することがわかった。これは、主として接合表面のPA66がギ酸中に溶出し、ガラス繊維が接合表面に露出することで、A5052アルミニウム合金表面の凹凸とのアンカー効果が向上し、化学結合力も増加したためであると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では当初、金属塩被膜の生成・分解挙動の可視化の検討を予定していた。しかしながら、FT-IRによる表面化学分析による熱分解挙動の解明に加えて、TG-DTAを用いた熱重量変化に関する調査も完了したため、ガラス繊維強化PA66への処理効果など、最終年度の課題である市場ニーズに対する表面改質法の適合化にも着手している。 よって、当初の計画以上に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
既に検討を開始しているガラス繊維強化PA66と各種機械材料の接合に関する研究を実施し、接合条件の緩和に向けた接合部形成技術の開発を推進する。また、継続して検討中の電気アシスト接合法援用による金属塩生成接合法についても引き続き検討課題とする。 一方で、より高高度な技術を結集させた半導体において、金属とセラミックスの精密接合も必要とされていることから、今後も継続して市場ニーズに合致した試験研究を実施する。
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