研究課題/領域番号 |
20K04690
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
林 泰弘 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (50274692)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 地盤材料 / 六価クロム / 溶出挙動 / 液固比バッチ試験 / 上向流カラム通水試験 / フライアッシュ / 火山灰質粘性土 / アロフェン / 物質吸着性 / 覆土 / 有機物 |
研究開始時の研究の概要 |
建設工事や災害による発生土の中で,有機質土,火山灰質粘性土は有効利用が進んでいないが,これらの土が含有する有機酸や非晶質鉱物は物質吸着性が非常に高いため,汚染物質の拡散防止やpHの緩衝には効果的である。 本研究では有機酸や非晶質鉱物の含有量が地盤材料としての特性に及ぼす影響を検討し,覆土や吸着層に適用することを目指した研究を行う。有機質土や火山灰質粘性土は国内にも広く分布し,特性も幅広いことから,含有成分の量に着目して整理することで,より効果的な有効利用が期待できると考えている。さらに,その過程で液固比バッチ試験と上向流カラム通水試験による溶出挙動の違いや評価方法についても研究を行う。
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研究実績の概要 |
最終年度は火山灰質粘性土を用いたフライアッシュ混合土におけるアロフェンの含有割合に着目して六価クロム溶出特性を研究した。 フライアッシュに対する火山灰質粘性土の混合割合を変えたフライアッシュ混合土を作製し,環告46号試験に準拠した液固比バッチ試験を実施した。その結果,アロフェン含有率が10%程度まではアロフェン増加による六価クロムの溶出量増加がみられたが,それ以上アロフェン量が増えても六価クロムの溶出は増えなかった。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果を以下に記載する。当初,再生資材や汚染土壌から溶出する重金属類を有機質土や火山灰質粘性土(以下,総称して「対象土」と呼ぶ)で吸着することを想定して研究は開始した。これらの土は物質吸着能が高いと考えられていたためである。対象土は高含水比で強度が小さいことから安価な改良のために,含水比の低下が可能なフライアッシュとの混合を検討した。 フライアッシュからは鉛や六価クロムなどの重金属類が溶出する可能性があったが,対象土によって十分に吸着できるものと考えていた。しかし,対象土とフライアッシュを混合した土(フライアッシュ混合土)からの六価クロム溶出量は,フライアッシュ単体よりも大きくなるケースがあることが明らかになった。この結果は想定外であり,その要因を検討することを優先した。対象土に特徴的な含有物として有機物(フルボ酸,フミン酸),アロフェンが考えられた。有機物やアロフェンの含有量が異なる自然土や含有量を人工的に調整した試料を用いて液固比バッチ試験によって検討したところ,アロフェン含有率が10%以下の範囲でフライアッシュ混合土からの六価クロムの溶出が増加することが示唆された。これらの結果より,再生資材や汚染土壌から溶出する重金属類が外部へ漏れるのを防ぐのには火山灰質粘性土は適切でないことが分かった。
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