研究課題/領域番号 |
20K04769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松田 昌洋 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (10528756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 伝統木造 / 土蔵 / 耐力壁 / 地震防災 |
研究開始時の研究の概要 |
伝統技術によってつくられる土蔵造りは、厚い土壁で建物全体を覆う耐火性に優れた構法で、土蔵とともに町家などにも利用されてきた。一方、2014年の長野県神城断層地震などで土蔵に甚大な被害が発生しており、地震対策を考えていく必要があるが、土蔵造りのような大壁の土壁をもつ建物の耐震性能については不明な点が多い。 本研究ではこうした土蔵造り建造物の地震時挙動を明らかにすることを目的とし、土蔵造り建造物を構成する大壁造りの土壁を対象とした実験によって、壁強度や破壊過程といった耐震性能を評価する。また、実験データにもとづいた構造解析によって、土蔵造り建造物の地震時挙動について分析する。
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研究成果の概要 |
大壁造り土壁を試験体とした壁実験により、大壁部分によって耐力壁性能が向上することが明らかとなった。ただし、壁厚と耐力との関係から、ある一定の厚さ以上の大壁部分は耐力を負担できず、耐震性能への影響が小さくなると考えられる。 これをふまえ、大壁造り土壁の耐力推定方法を提案し、推定値を既往の研究データと比較した結果、壁厚が異なる場合も本研究の推定方法によって耐力を推定できる可能性が示唆された。また、土蔵造り建造物の耐震性能に関する検討をふまえると真壁部分を考慮するだけでは過小評価となり、大壁部分の土壁が負担する耐力を含めて適切に評価することが重要であると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
土蔵などに見られる大壁造り土壁を構造的な視点から分析した先行研究は少なく、実施された壁実験も試験体数や仕様が限定的であり、耐震診断に適用できるような詳細な検証はなされていない。本研究では先行研究にはない壁厚をパラメータとした土壁の壁実験を行うことで、壁厚の影響を考慮した大壁造り土壁の耐力、剛性を定量的に評価し、土蔵造り建造物の耐震性能を適切に把握することを目指している。 本研究で得られた知見は、日本の文化を継承する土蔵造り建造物の地震対策、耐震補強方法を確立するための重要な学術的提案となり、全国各地に現存する土蔵造り建造物の町並みにおいて地震防災計画を展開する際の基盤としての役割を担う。
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