研究課題/領域番号 |
20K05014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
宮島 千代美 大同大学, 情報学部, 教授 (90335092)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ドライバ / 危険感 / 危険シーン検出 / 危険要因分析 / 運転データ / 要因分析 / 個人性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,運転中に人が感じる危険感を推定可能なモデルを構築し,危険な運転シーンを検出する手法について検討する.まず,運転シーンに対して感じる危険感の主観評価データを収集し,機械学習や統計分析手法等を用いて,車載カメラ映像や車載センサ信号等の運転中に観測可能な多種センサ信号から,人が感じる危険感の有無を推定し,危険シーンを検出するモデルを構築する.また,主観評価データや構築したモデルを基に,危険感の主な要因や個人性について分析する.
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研究実績の概要 |
道路前方の車載カメラ映像から得られる情報を用いて,運転中に人が感じる危険感の有無と危険要因を推定する手法について,昨年度は危険感の有無の推定と危険要因の推定を独立で行うネットワークを構築したが,今年度は危険感の有無と危険の要因を同時に推定するネットワークを構築し,同時推定によって相乗効果を得られるかについて検討した.実験では,危険有無のみ, 危険要因のみを推定するネットワークと比較して,2つを同時に推定するネットワークを学習した場合に推定精度が向上するかを調査した. なお,同時に複数の危険要因が存在する状況も考慮するため, 危険要因分類ではなく,マルチラベル分類を行った.危険の種類は,動的車両要因・準動的車両要因・車両除く動的要因・壁要因・接触系要因・走行不可要因・走行注意要因・異常制動要因・通常制動要因・その他を分類する10個ラベルについて,並列に危険要因の有無を推定した.また,実験では3名の教習員が事前に記録した走行映像に対してラベル付けしたデータを用いて学習・評価を行った.比較実験の結果,危険有無の推定性能に関しては, 危険有無のみを独立のネットワークで推定する場合と比較して大きな変化は見られなかったが,危険要因の推定性能に関しては, 危険要因のみを独立に推定するネットワークではAUCが0.645であったのに対して,同時推定することで0.727まで大きく向上した. 今後は,教習員の危険感モデルが生成する危険感・要因に対して,一般ドライバの危険判断データを比較することで,一般ドライバが気づかない危険をドライバに対して警告が可能であるかについて検討する.また,危険の有無や危険要因の推定が何秒前から可能であるかについて,予測性能の検討を行う必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,一昨年度行った危険有無の推定と昨年度に行った運転の危険要因の推定手法について,モデルと一つの枠組みで学習することで,推定結果に相乗効果が得られないかについて検討を行い,その結果,同時推定によって,危険要因の推定精度において改善することが分かった.当該実験を進める段階で,検討すべき事項が当初の計画より増えたため,何秒前に危険の有無や危険要因を予測できるかといった予測実験を行うまでに至らなかった.そこで,今年度は,危険感と危険要因を同時に推定する手法の実験の実施までとし,次年度に予測の可能性や,一般ドライバが気づかない危険を検出可能であるかについて実験を実施することとした.現在,検討すべき事項を整理しつつ,実験を進めている状況である.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,危険の有無と危険要因を同時推定する実験を行い,危険要因の推定精度において効果が得られることを確認できたが,その危険を何秒前から予測できるかについてはまだ十分に検討が行えていない状況である.そこで,過去数秒前までに観測された運転データをネットワークの入力として,危険感の有無や危険の要因を予測できるかについて来年度に引き続き検討を進める予定である. また,ドライバが気づいていない危険や危険要因について警告が可能であるかについても検討が必要である.教習員のデータで学習した危険感のモデルをベースとして,一般ドライバの危険判断データを入力・比較することで,教習員は危険と感じるが一般ドライバは危険と感じない,あるいは気づかない危険シーンや危険要因がどの程度あるかについて評価実験を行う予定である.
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