研究課題/領域番号 |
20K05032
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
高原 利幸 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (20324098)
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研究分担者 |
上野 勝利 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70232767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 並列タンクモデル / 土壌雨量指数 / 土砂災害警戒情報 / クリティカルライン / 捕捉率 / 空振り率 / 地質図 / RBFN / 地形・地質 / Deep Learning |
研究開始時の研究の概要 |
現時点での土砂災害警戒警報は,土石流のみに対応したものであり,全体の1/3の災害にしか対応していない.このため,空振りなどの問題も多く,早期の避難行動の開始及び自治体の避難勧告の発令に結びついていない. 解決には,集中豪雨以外で発生する土砂災害の地域と土石流発生地域を区別し,適切な指標で警戒情報を発表することが必要であり,本研究は新指標とそのパラメータの既存データからの推定方法を確立するものである.
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研究実績の概要 |
土壌雨量指数(SWI)に代る土砂災害警戒情報の指標として,並列タンクモデル指標(PTI)を検討している.土砂災害は地域の地質の特性から破壊時のメカニズムが地層境界に浸入した水が引き起こす場合(長期降雨で発生)と,斜面表面に浸透した水によって引き起こされる場合(短期豪雨で発生)に分けられることが,石川県の2007年からの土砂災害の発生事例の検証から分かっている. SWIとCLを用いた判定は,長期降雨で発生する土砂災害の捕捉率が5%程度と非常に低く,新たに降雨からの時間差を表現できるPTIを提案した.この指標では長期降雨で発生する場合と短期豪雨で発生する場合を地域ごとに分けて,異なるパラメータを使用する.従来のパラメータは,異なるメカニズムで土砂災害が発生しそうな地点に地下水位計を入れ,降雨との反応から求めていたが,測定箇所は4箇所とすべての地質を勘案することは難しかったため.本年度は被災実績に合わせて適切なパラメータを検討した. その結果,短期豪雨で発生した土砂災害の捕捉率はSWI+CLの44%から,65%程度まで向上し,長期の降雨で発生した土砂災害に対しても5%から40%弱に向上させることができた.現在,教師データとした2007-2013年以降の災害データ(2014-2022)の捕捉率が同様に向上するか,空振りはどこまで減少するかについての検討を行っており,これを持って最終成果とする予定である. 当初,屋外での測定実績を増やすことを考えていたが,コロナ禍で十分な対応ができなかったため,室内実験に切り替えて,PTIの物理モデルの妥当性の検証を行っている.現在土槽の作成や降雨装置の作成が進んでおり,本年度中に成果が見込まれる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初屋外での計測事例を増やす予定であったが,コロナ禍で対応していただく行政の担当者と学生を伴っての作業が困難であった.このため,室内実験に切り替えて,降雨と浸透の関係を提案モデルで再現できるかの検証を行う予定である.このため,実証実験がやや遅れているといえるが,災害データからの提案パラメータを用いた予測成績は良く,研究成果も十分上がってきたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
上記概要でも述べたように,教師データとしてパラメータ設定や地域区分に用いていた災害データが2007から2013年のものであり,それ以降に発生した2014-2022年までの石川県の土砂災害事例について,これまで検討したパラメータを用いてPTIの適用性をSWIとの比較で検証する.さらに,短期豪雨,長期降雨を模した室内実験を通じて,提案モデルの物理的な妥当性について検討を進める予定である. 最終的には石川県内を1kmメッシュ程度の地質および流域界で区分し,短期豪雨型か長期降雨型かに分けて,土砂災害の発生予測を可能にする予定である.
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