研究課題/領域番号 |
20K05054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25030:防災工学関連
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
小西 智久 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (40559960)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 畳み込みニューラルネットワーク / ディープラーニング / U-Net / SAR / 合成開口レーダ / COSMO-SkyMed / ALOS-2/PALSAR-2 / SPOT-7 / リモートセンシング |
研究開始時の研究の概要 |
近年、豪雨や地震に伴う土砂災害が数多く発生している。早期の被災状況把握に向けて、天候や昼夜によらず地表面の状態を観測可能な人工衛星搭載合成開口レーダ(SAR)の活用が期待されている。本研究では、画像認識で成果を上げている深層学習を用いて災害前後のSARデータから土砂崩壊地を抽出することを目的とする。さらに、波長や観測方向および観測モードの異なるSARデータを用いることで土砂崩壊地抽出に適した手法を確立する。
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研究実績の概要 |
災害発生時の被災状況の早期把握のため、天候や昼夜によらず地表面の状態を観測可能な人工衛星搭載の合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar: SAR)データの活用が期待されている。本研究では、画像認識で成果を上げている深層学習を用いて災害前後のSARデータから土砂崩壊地を抽出することを目的とする。さらに、波長や観測方向および観測モードの異なるSARデータを用いることで土砂崩壊地抽出に適した手法を確立する。 2022年度は2021年度に引き続きSARデータにCNN(Convolutional Neural Network)を適用して土砂崩壊地を抽出するための学習・検証用データを作成する方法について検討を行った。一般的にSARデータよりも光学衛星データの方が土地被覆状態の把握に適していることから、光学衛星データにCNNを適用して土砂崩壊地の教師データを作成する。北海道胆振東部地震の発生前後に観測されたSPOTデータに全層畳み込みニューラルネットワークの一つであるU-Netを適用して土砂崩壊地抽出を行った。この抽出における学習・検証用データは国土地理院が公開している斜面崩壊・堆積分布図のGeoJSONデータから作成した。CNNモデルへの入力は災害後のみのデータと災害前後のデータを使用して、それぞれの抽出精度の比較を行った。学習に使用していないテストデータを用いて検証した結果、災害前後のデータを使用した方がF値は高いが、災害後データのみでも高いF値を示した。これにより、光学衛星データにCNNを適用した土砂崩壊地抽出において、災害前後データを用いた方がF値はやや高くなるが災害後データのみの入力でもほぼ同等のF値が得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は衛星データを用いた災害発生時の被災状況の早期把握のため、災害前後のCOSMO-SkyMedおよびALOS-2/PALSAR-2データにCNNを適用して土砂崩壊地抽出を行い、提案手法がXバンドおよびLバンドSARデータに対して有効であることが確認できた。2021年度はSARデータにCNNを適用して土砂崩壊地を抽出するための学習データを多数用意するために光学衛星であるSPOTのデータにCNNを適用して土砂崩壊地抽出を行った。光学衛星データの観測バンドの組み合わせを調整して土砂崩壊地抽出におけるパラメータの最適値を求めた。2022年度は2021年度に引き続き,光学衛星データから土砂崩壊地抽出データを作成する方法を検討した。北海道胆振東部地震の発生前後のSPOTデータにCNNを適用して土砂崩壊地抽出を行った。2021年度は災害後の光学衛星データのみを入力データとしていたが、2022年度は災害前後のデータを入力データとして検証を行った。その結果、災害後データのみの入力でも災害前後の入力データとほぼ同等のF値が得られることが分かった。 一方、SPOTデータの解析に時間を要したことから、ALOS-2/PALSAR-2のフル偏波モードデータを用いた土砂崩壊地抽出については実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、SPOTデータから作成した土砂崩壊地データを用いてSARデータを用いたCNNモデルの学習を行った場合の土砂崩壊地抽出精度を検証する。また、これまでにモデル学習を行っていない国内外の土砂災害についてもSARおよび光学衛星データを用いて同様の解析を行い、モデルの性能を向上させる。さらに2022年度までに開発したCNNをもとにSARの後方散乱強度に加えて偏波情報を利用した土砂崩壊地の抽出手法を開発する。ALOS-2/PALSAR-2のフル偏波モードデータから対象地域の表面散乱、体積散乱、2回散乱成分を分析して、CNNを用いた土砂崩壊地抽出に適した手法を確立する。 以上のSARおよび光学衛星データによる土砂崩壊地抽出に関する検討結果と解析事例に基づき、国内外での学会発表や論文投稿を行う予定である。
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