研究課題/領域番号 |
20K05268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28030:ナノ材料科学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
藤井 俊治郎 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (80586347)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | グラフェン / ナノカーボン / 透明電極 / 有機無機ペロブスカイト / ペロブスカイト太陽電池 / 有機系太陽電池 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノカーボン材料であるグラフェンは炭素元素のみからなる二次元層状物質であり、高い導電性と透過率を持つ透明電極として応用が期待されている。本研究では、グラフェンを有機無機ペロブスカイト太陽電池の透明電極に適用し、折り曲げ可能で両面発電する多機能な新規太陽電池の開発を試みる。屋内用自立電源など環境発電デバイスへの応用展開を目指す。
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研究実績の概要 |
昨年度は、グラフェンの合成技術を推し進め、多層グラフェンを目的の位置に直接成長させる手法の開発に成功した。今年度は、グラフェンの太陽電池電極への応用可能性を探るため、陽極に多層グラフェンを用いた色素増感太陽電池の試作を行った。導電性ガラス基板上の酸化チタン膜に色素を担持した後、電解液を滴下し、多層グラフェン電極と重ね合わせ色素増感太陽電池を作製した。電流電圧特性および外部量子効率特性の結果から、性能は白金電極には劣るものの、色素の光吸収に起因する光電流が確認され、多層グラフェンを色素増感太陽電池の陽極として使用可能であることがわかった。 ペロブスカイト太陽電池においては、大気中において塗布プロセスにより有機無機ペロブスカイト結晶を作製する方法を検討した。前駆体であるヨウ化鉛(PbI2)とヨウ化メチルアンモニウム(CH3NH3I)を溶かしたペロブスカイト前駆体の溶液を調整し、酸化チタン膜付導電性ガラスに塗布した後、ホットプレートでアニールした。作製した試料をX線回折(XRD)装置で測定した結果、XRDパターンには有機無機ペロブスカイト(CH3NH3PbI3)結晶に由来するピークが観察され、CH3NH3PbI3結晶の形成を確認することができた。以上のように、大気中でペロブスカイト結晶を作製する技術を確立した。しかしながら、新型コロナウイルスの世界的まん延により、研究開始当初から研究が遅れていたため、ペロブスカイト太陽電池の作製まで到達しなかった。補助事業期間延長申請を行い、承認を受けて令和5年度まで事業期間を期間延長することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度までに、グラフェンの合成技術を推し進め、多層グラフェンを目的の位置に直接成長させる手法の開発に成功している。しかしながら、ペロブスカイト太陽電池作製に関しては、新型コロナウイルスの世界的まん延により、外部部共用施設での実験が困難であったため、研究が遅れている。研究開始当初は、ペロブスカイト太陽電池の作製を外部共用施設で行うことを想定していたが、令和4年度から所属大学の研究室内でペロブスカイト太陽電池を作製することに研究方針を変更した。現在までに、大気中でペロブスカイト結晶を作製する技術を確立している。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長申請の承認を受けて令和5年度まで事業期間を期間延長することとなった。最終年度となる令和5年度は、昨年度に開発したペロブスカイト結晶の作製技術を用い、グラフェン電極を用いた有機無機ペロブスカイト太陽電池の作製を試みる。有機無機ペロブスカイトを太陽電池だけでなく光センサーなどへ応用することも検討する。また、実験だけでなく分子動力学(MD)シミュレーションによるアプローチを取り入れる。MDシミュレーションを担当する共同研究者を新たに加えて、研究を加速させる予定にしている。
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