研究課題/領域番号 |
20K05307
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
田辺 賢士 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00714859)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | スピンゼーベック効果 / スピンホール効果 / スピン回転効果 / スピントロニクス / 熱電発電効果 / マグノン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マグノンの熱輸送現象をうまく利用して、スピンゼーベック効果の発電効率を、通常技術よりも100~1000倍に増強することを目指すものである。 スピンゼーベック効果は、多層膜を作製するだけで熱電発電できる。平坦な面であればどこにでも作ることができ、その適用可能範囲は極めて広い。しかし、発電効率が十分高いとは言い難く、ここに大きな問題が横たわっている。そこで、本研究では、フォノンの熱伝導によるエネルギー損失を最大限に抑えつつ、マグノン(磁化の揺らぎ)の伝播を利用して、熱浴から熱エネルギーを取り出し、スピンゼーベック効果により発電する新技術を確立する。
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研究成果の概要 |
本研究では、IoT技術を支えるセンサーの独立電源への応用を目指して、スピンゼーベック効果(SSE)の研究を行った。SSEはフレキシブル化が容易であるというメリットがあるもののの、発電量の点に問題がある。SSEの高効率化を目指して研究を行った。 まず、フェリ磁性体TbCoを用いて、スピン流電流変換効率の組成依存性を調べ、Co薄膜に比べて3倍大きくなる組成を見出した。次に磁場印加方向を90度ずらすことで、磁化依存スピンホール効果の研究を行った。伝導電子のスピン方向が、局在スピンの向きに応じて回転する現象であり、先行研究に比べて4倍程度大きく制御できることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、これまで非磁性体や強磁性体材料で主に研究されてきたスピン流電流変換効果の研究に対して、TbCo合金というフェリ磁性体材料を用いた点である。この材料を用いることにより、変換効率の増強に成功し、また磁化依存スピンホール効果の、CoやTbの副格子の磁気モーメントやネットの磁化の影響などを明らかにすることができた。さらにその効果の起源が界面効果であることを明らかにした。また本研究の社会的意義は、新規な熱電発電効果の一つであるスピンゼーベック効果の性質の1つを明らかにしたことで、次世代センサーの独立電源への応用へ近づいたと言える。
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