研究課題/領域番号 |
20K05724
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分37020:生物分子化学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
坂本 敏夫 金沢大学, 生命理工学系, 准教授 (70324069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 環境耐性 / 極限環境生物 / 光合成 / 天然物 / 無水生活様式 / 無視生活様式 / 極減環境生物 |
研究開始時の研究の概要 |
陸棲シアノバクテリアNostoc commune(イシクラゲ)は新規の紫外線吸収物質(MAA配糖体)をもつ。MAA配糖体は,紫外線防御に加えて抗酸化活性を示すことから,イシクラゲの極限的な乾燥耐性に深く関与すると考えられる。イシクラゲからMAA配糖体の生合成に関与する遺伝子群を単離して,MAA配糖体をつくらない異種シアノバクテリアに遺伝子導入し,MAA配糖体産生能を獲得した形質転換体を作製する。得られた形質転換体について,紫外線,乾燥,酸化ストレスに対する耐性を評価する。これらを通じて,MAA配糖体が果たしている生理機能を明らかにする。
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研究成果の概要 |
陸棲シアノバクテリアNostoc commune(イシクラゲ)は,紫外線に対する防御機構の一つとしてマイコスポリン様アミノ酸 (MAA)をもつ。中国産食用イシクラゲ「地皮菜」においてNostoc-756が検出され,化学型Cであった。一方,遺伝子型は,既知の4型とは一致しなかった。乾燥状態で長期間保存していたイシクラゲを用いて,光合成活性が保持されている限界を検証した。室温で8年保存した乾燥コロニーを水和すると光合成活性を回復する例があった。イシクラゲと和紙を複合化して「光合成をする紙」を作製した。MAA合成に関与するmys遺伝子群の一部をクローニングすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中国産「地皮菜」についての解析結果は,新たな多様性を示唆しており,今度,地球規模でイシクラゲの多型を調べていく必要がある。イシクラゲが示す乾燥耐性について長期保存の限界を実験的に検証し,乾燥状態で最長8年間保存したサンプルでも光合成活性を回復する例が示された。この結果は,本生物における光合成活性の寿命を学術的に検証した論文として初めての記載である。イシクラゲを利用して「光合成をする紙」を作製する試みは,芸術作品の素材とすることを想定しているが,さらに研究を進めてストレス環境下で光合成装置を保護するしくみの解明や生物活性を長期に乾燥保存する技術開発へ活かされていくであろうと期待する。
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