研究課題/領域番号 |
20K05769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
和田 慎也 神戸大学, 農学研究科, 助教 (80637942)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 光合成 / 電子伝達 / シロイヌナズナ / 循環的電子伝達 / 光ストレス / 光酸化ストレス / 光阻害 / 光化学系I / PGR5 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究より、光合成電子伝達系の一構成遺伝子に欠損変異が生じたシロイヌナズナ変異体を新たに単離した。しかしながら、単離された変異体は、既存の同一遺伝子の欠損変異体のような光合成能力や生育の低下を示さない、生育回復アリルであることが分かった。本研究では、この変異体のDNA変異並びに光合成特性の詳細を明らかにし、光合成の基本的理解を深めること、また生育回復につながった原因変異を応用し、光合成能力の増強を試みることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究は、シロイヌナズナのPGR5遺伝子に対し、同一の変異を持つにも関わらず異なる生育表現型や光合成能力を示す2つの変異株(pgr5-1, pgr5hope1)を材料に、その違いの原因を遺伝子レベルで解明した。当初、既知の変異株pgr5-1株に対し光合成CO2 固定速度が高いpgr5hope1株に光合成能力の回復変異が存在することが予想された。しかし、解析の結果、pgr5-1株側に光合成を低下させる第2変異(ptp1と命名)が存在することが明らかとなった。また、ptp1変異はPGR5欠損下において、PSIの酸化傷害を助長することで、CO2固定速度の低下を引き起こしていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、主に光合成循環的電子伝達の解析材料としてシロイヌナズナPGR5欠損体pgr5-1株は世界中で利用されてきた。しかし観察されてきた一部のデータ、特に光合成CO2固定速度の変化はptp1変異による影響が強く、単純なPGR5欠損の影響ではないことが明らかとなった。この結果は、PGR5を基盤とした既存の循環的電子伝達の分子モデルやその役割に関し、議論の余地があることを示したものとなった。また、ptp1変異は植物にとって致命的となる光化学系Iの酸化障害を助長するものであることが明らかとなり、PSIの保護や回復など未だ知られていない分子機構の解明につながる知見となることが期待される。
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