研究課題
基盤研究(C)
アシルCoAは生物の様々な代謝反応の基質や中間体として働く重要な物質である。本研究では高度好熱菌における2つのアシルCoA代謝酵素について、酵素活性を持たない「機能未知酵素ホモログ」による調節に着目して研究を行う。アシルCoA代謝酵素の調節機構を遺伝生化学、構造生物学などを組み合わせて分子レベルで解明し、調節機構の生理的な役割をアシルCoAが関わる様々な代謝との関連性から明らかにすることを目的としている。
補酵素A(CoA)は生物にとって最も重要な補酵素の一つであり、アシルCoAは生体内で起こる様々な化学反応に基質や中間体として関与している。よってアシルCoAの合成に関わる酵素の機能や調節機構を理解することは、細胞内代謝の全体像の理解を目指す上で重要である。本研究では高度好熱菌Thermus thermophilusにおいてアシルCoA合成に関わるCoA転移酵素やアシルCoA合成酵素において、「酵素活性を持たない機能未知酵素ホモログ」がその機能調節に関与するという興味深い現象を見出し、その制御機構を遺伝生化学、分子生物学、構造生物学的な手法を用いて解析した。
アシルCoAはアミノ酸や脂肪酸をはじめとした様々な物質のビルディングブロックとして利用されるため、CoATやACSによるアシルCoAの生成は微生物を用いた様々な有用化合物生産においても重要な反応である。これら酵素の制御機構を理解することでより効率的な物質生産系に役立てることができると考えられる。また、一見するとpseudogeneである酵素ホモログが、実は酵素活性調節や遺伝子発現調節において酵素活性とは別の機能をもつという点は、遺伝子配列からの機能予測の限界を超え、生体内の代謝反応の理解の発展に寄与するものと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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