研究課題/領域番号 |
20K05828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
渡邉 彰 香川大学, 農学部, 教授 (90325324)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 担子菌 / ラッカーゼ / 子実体形成 / 遺伝子発現 / キノコ / 酵素機能 |
研究開始時の研究の概要 |
担子菌において子実体(キノコ)は、温度、光、そして栄養飢餓などの外的刺激に応答して形成される。また、子実体は食用担子菌においては可食部となるなど、産業上重要な器官であるにもかかわらず、その形成の分子メカニズムについては未だ不分明な状況にある。そこで本研究では、担子菌エノキタケの子実体形成に必要な誘導条件に応答する酵素を切り口に、分子レベルでの網羅的解析を組み合わせ、誘導刺激を受けた菌糸がどのように子実体形成へと向かうのかを解析し、得られた成果のキノコ栽培への活用についても検討を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、担子菌エノキタケを用いて、その子実体形成誘導条件応答機構について理解し、得られた成果の高効率なキノコ栽培への活用を目的としている。本研究の対象であるエノキタケの子実体形成は、菌床培地(固体培養系)を使用し、菌糸蔓延後、子実体形成誘導条件(低温誘導:培養温度の低温へ移行)を付与することにより実施しており、令和4年度は、主に以下の解析を行った。 (1)子実体形成誘導条件である低温誘導の付与に応答して生産が上昇するラッカーゼアイソザイムに関して、生育が旺盛なカビを用いた異種宿主発現系から組換え酵素溶液を調製し、前年度に引き続き同調製酵素溶液の固体培養系への添加効果等について検討・解析を行った。また、調製した組換え酵素自体についても解析を進めた。これまでのところ、調製酵素溶液の添加効果解析についてはまだ結果を導くには至っていないが、調製した組換え酵素はエノキタケ由来の同酵素とは糖鎖の付加において差異があることが示唆され、現在、引き続きその他の諸性質について解析を進めている。 (2)子実体形成誘導条件(低温誘導)の付与前後における菌糸体のRNA-Seq解析から発現量の上昇が認められた遺伝子オルソログ(タンパク質分解系に関与と推測)に着目し、同遺伝子産物のエノキタケの子実体形成過程における機能解析のため、菌糸蔓延後(子実体形成誘導条件下)の菌糸体に対して各種タンパク質分解酵素阻害剤の添加が及ぼす影響について解析を行った。現在、引き続きそれらの添加効果について検証と解析を進めている。 (3)子実体形成を行わせる菌床培地に着目し検討を行った結果、含有する培地成分が菌体の生長を促す傾向を有していることが示唆された。現在、引き続き観察された生長促進傾向について検証と解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、安定的にエノキタケの子実体を形成させるために菌床培地(固体培養系)を使用している。この固体培養系への各種化合物の添加方法や添加時期などの諸条件の検討、そしてそれらの子実体形成過程に及ぼす影響の解析に予定以上に時間を費やしている。現在も継続して検証や解析を進めていることから、計画よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、エノキタケの子実体形成誘導条件に応答するラッカーゼアイソザイムの子実体形成過程に与える影響について解析を進める。また、RNA-Seq解析の結果、子実体形成条件において発現量が上昇する遺伝子オルソログの機能についても生化学的および分子生物学的に解析を展開させる。さらに、エノキタケの菌体生長を促す培地成分にも着目し、その子実体形成過程に与える影響とともに、成分自体についての解析も行う。そして、得られた成果を総合的に考察し、高効率的なキノコ栽培へのフィードバックを図る。
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