研究課題/領域番号 |
20K05899
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 帝塚山大学 |
研究代表者 |
藤原 永年 帝塚山大学, 現代生活学部, 教授 (80326256)
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研究分担者 |
前田 伸司 北海道科学大学, 薬学部, 教授 (50250212)
綾田 稔 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90222702)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 抗酸菌感染症 / 糖脂質 / ミコール酸 / 抗酸菌 / Mycobacterium / マイコラクトン |
研究開始時の研究の概要 |
近年、養殖魚から抗酸菌が頻繁に分離され、感染魚は腎・脾臓の肥大、粟粒結節を形成して感染後4-10 週で死亡する。日本の食文化を脅かす事態となっている。現状把握と予防対策を早期に講じることが希求される。 本研究では、養殖魚における抗酸菌感染症の全貌を疫学的観点から明らかにし、予防対策の基礎研究を実施する。具体的に、感染魚の実態と感染経路を重視した疫学的フィールド調査、抗酸菌特有脂質分子を用いた免疫学的迅速診断(ELISA)法の開発、ヒトへの感染リスクと食用魚の安全性評価、特徴的脂質分子の分布・偏在性と病原性の検討を行い、魚類抗酸菌感染症を学術的に解明する。
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研究実績の概要 |
近年、養殖魚から抗酸菌が頻繁に分離され、感染魚は腎・脾臓の肥大、粟粒結節を形成して感染後4-10週で死亡する。日本の食文化を脅かす事態となっている。ヒトにブルーリ潰瘍を発症するM. ulceransの近縁抗酸菌であるM. pseudoshottsii, M. shottsii, M. marinum等が主な魚類抗酸菌症の起因菌で、その脂質生化学的特徴を明らかにした。ミコール酸の分子種は結核菌に比べ炭素鎖長が2-4短鎖で、サブクラスはα、メトキシ、ケトから構成されていた。コードファクター、 マイコラクトンは共通して存在し、フェノール糖脂質は菌株間で偏在性があった。糖ペプチド脂質は存在しなかった。これら糖脂質分子は、宿主免疫応答に影響することが示唆された。 ミコール酸生合成でmeroミコール酸部分の二重結合合成を制御するmadR遺伝子を欠失したM. marinum変異株を作製し、ミコール酸生合成について検討した。MadR-KO株は二重結合が増加していることを薄層クロマトグラフィーで確認した。現在、HPLC-ESI/MSで変化した質量数を同定中である。 血清中の抗脂質抗原上昇を測定するELISA法を開発するため、抗酸菌感染養殖魚の血清入手、抗魚二次抗体の準備を検討したが、ブリ、カンパチ養殖魚の抗体入手が困難であった。感染魚の抗体価上昇を検討するため、入手可能な魚種に変更し、抗酸菌感染錦鯉の抗体価測定を検討中である。錦鯉の血清と抗錦鯉二次抗体を入手し、現在ELISA系を検討中である。 養殖魚における抗酸菌感染症の全貌を疫学的観点から理解し、病原性、感染性を脂質免疫学的観点から明らかにすることで、食の安全性に資する基礎的研究成果を得る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
M. pseudoshottsii, M. shottsii, M. marinumの死菌体をアルカリ加水分解してミコール酸画分を抽出し、メチルエステル化した。精製したミコール酸サブクラスを質量分析(MALDI-TOF/MS, ESI/MS)で分子種を同定した。各菌種は結核菌と比較して主要分子種の炭素鎖長が2-4短鎖で、サブクラスはα, メトキシ, ケトミコール酸から構成されていた。ミコール酸の2重結合合成を制御しているmadR遺伝子を欠失した変異株は、硝酸銀添加薄層クロマトグラフィーの移動度が野生株に比べ低くなり、2重結合の増加が示唆された。現在、HPLC-ESI/MSでミコール酸の質量数変化を解析中である。その他、コードファクター、 マイコラクトンは共通して存在し、フェノール糖脂質は菌株間で偏在性があった。糖ペプチド脂質は存在しなかった。宿主と最初に出会うこれら細胞表層成分が宿主免疫応答に影響することが示唆される。抗酸菌感染を把握するための迅速診断法として糖脂質抗原に対するELISA法の開発を試みた。ブリ、カンパチ養殖感染魚の血清入手と抗魚二次抗体の入手が困難であったため、抗酸菌感染錦鯉におけるELISA法の開発を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
入手した魚類感染抗酸菌の臨床分離株における脂質画分を網羅的に解析し、その偏在性を明らかにする。特にマイコラクトン、フェノール糖脂質について検討する。現在進行中のmadR-KO株のミコール酸解析から2重結合合成の制御について解明し、病原性、感染性との関連を検討する。抗酸菌感染錦鯉の血清中に抗抗酸菌脂質抗体が産生していることを確認する。これら抗体の産生は抗酸菌感染の診断や病態把握に有用であり、ヒト結核で得られている知見と比較することで、魚類感染抗酸菌の病原性や診断、予防に有益な情報が得られる。 以上より、養殖魚における抗酸菌感染症の全貌を疫学的観点から理解し、抗酸菌感染魚の脂質免疫学的特徴を明らかにすることで、病原性、感染性との関連を検討する。本研究から、総合的な魚類抗酸菌感染症の現状と予防対策を検討し、食の安全性に資する基礎的研究成果を得る。
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