研究課題/領域番号 |
20K05922
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
三谷 塁一 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (40773304)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
|
キーワード | 肥満 / 2型糖尿病 / 大豆イソフラボン / NAD / NAMPT / 標的タンパク質 / Genistein / NAD+ / 脂肪細胞 / アディポネクチン / 脂肪組織 / イソフラボン / 肥満関連疾患 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満関連疾患の発症は,補酵素であるNAD+の減少による脂肪細胞の老化と,老化による炎症性物質の分泌増加に起因すると考えられている。そして,高脂肪食の摂取が,NAD+合成経路の律速酵素NAMPTの発現を抑制し,これがNAD+合成量の低下と細胞老化を引き起こすことが明らかにされた。従って,NAMPTは,細胞老化を介して肥満関連疾患を制御し得る鍵因子と考えられるが,NAMPTの発現制御機構には未解明な部分が多く残っている。そこで本研究では,脂肪細胞におけるNAMPTの発現制御機構の詳細を明らかにし,食品因子によるNAMPTの発現制御を介した細胞老化の抑制が,肥満関連疾患の予防に資することを証明する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、NAD合成経路の律速酵素NAMPTの発現制御機構を解析し、大豆イソフラボンの一種であるゲニステインが細胞膜タンパク質であるPHB1に結合することでNAMPTの発現を転写レベルで増加することを明らかにした。肥満や老化によって脂肪組織のNAMPTの発現量は低下し、これがNAD合成量の減少と耐糖能の低下に繋がるとされている。ゲニステインを摂取することで、脂肪組織のNAMPTレベルが増加し、肥満に起因する耐糖能の低下も回復することが示された。以上の結果から、NAMPTの発現量が食品成分で制御可能であり、NAMPTの発現量を制御することで2型糖尿病の予防に資することが証明できた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体内のNAD量の低下を改善することは肥満や加齢性疾患の標的とされている。現在NAD量の増加方法として①NAD前駆体の投与、②NAMPTの酵素活性を向上する医薬品の開発が行われている。本研究の特色は、これらとは異なる、第3の方法としてNAMPTの発現量の制御に着目した点にある。動物実験の結果から、大豆イソフラボンがNAMPTの発現量とNAD量の制御することが可能であることを明らかにし、食品成分が疾患予防に有用である基礎データを得たことは学術的にも社会的にも意義が大きい。今後、NAMPTの発現制御が加齢性疾患に対しても予防効果があるのかを検証し、ゲニステインの実用化を進める予定である。
|