研究課題/領域番号 |
20K05934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38050:食品科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永塚 貴弘 東北大学, 農学研究科, 准教授 (30445895)
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研究分担者 |
仲川 清隆 東北大学, 農学研究科, 教授 (80361145)
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 助教 (50781647)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 過酸化脂質 / テロメラーゼ / 癌 / 食品機能性成分 |
研究開始時の研究の概要 |
癌が進展するためには、癌細胞の発生(発癌)後の増殖過程において劣悪な環境(低酸素、低栄養など)に適応し、様々な悪性形質を獲得することが重要であり、この癌細胞の悪性化こそが、癌が致死的疾病として恐れられている主因である。酸化を受けた脂質(過酸化脂質)による発癌の研究例は複数存在するが、癌の悪性化に与える影響についてはほとんど検証されていない。本研究課題では、過酸化脂質による癌の増悪化の分子機構を解明し、その癌進展を抑制する食品成分を見出すことで、『食による癌抑制』を目指す。本研究は、これらの課題究明を通して超高齢社会に適した食事・医薬を創生することで、健康寿命の延伸に貢献するものである。
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研究成果の概要 |
過酸化脂質(2~10μM)を培地に添加して大腸癌細胞HCT116を24時間培養した結果、テロメラーゼ活性が濃度依存的に増大した。この分子機構として、過酸化脂質がMAPK経路の誘導を介して癌遺伝子c-Mycとテロメラーゼ触媒サブユニットhTERTを活性化させ、テロメラーゼの活性を亢進すると考えられた。がん患者由来のオルガノイドを活用して過酸化脂質による影響を調べたところ、大腸癌患者由来のオルガノイドにおいてもテロメラーゼの活性化が認められた。過酸化脂質とビタミンE(α-トコフェロール)を大腸がん細胞に同時に処理することで、過酸化脂質によるテロメラーゼ活性化が抑制された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過酸化脂質による癌のテロメラーゼ活性化は過去に無い知見であり、抗酸化物質がその作用を抑制することも初めて明らかにしたことから、本研究の独自性・新規性は極めて高い。本研究により得られた成果は食品学、栄養学、生化学にとどまらず、薬学や医学の分野に大きく展開できると考えられ、高齢化が進む日本人の健康維持への貢献 (健康寿命の延伸やQOL(quality of life)の向上)、さらには増大する国民医療費の抑制にもつながるため、社会的意義と波及性が極めて大きい。即ち、本研究成果は、超高齢社会に適した食事・医薬の創生に貢献するものである。
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