研究課題/領域番号 |
20K05966
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38060:応用分子細胞生物学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
長野 稔 立命館大学, 生命科学部, 助教 (80598251)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | スフィンゴ脂質 / 細胞膜 / ナノドメイン / シロイヌナズナ / 免疫 / 植物免疫 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜にはナノドメインと呼ばれる、特殊で微小な領域が点在している。これまでにナノドメインが植物免疫に関与することが示唆されてきたが、具体的な機能は未解明であった。我々はナノドメインが減少したシロイヌナズナ変異体を用いることにより、植物免疫の主要な経路を担うタンパク質の複数がナノドメイン上に存在することを見出した。本研究では、同定したタンパク質とナノドメインの関係や、それらタンパク質を介した経路におけるナノドメインの機能を明らかにすることにより、ナノドメインが制御する植物免疫機構を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、細胞膜ナノドメインが制御する植物免疫経路を特定し、病害抵抗性におけるナノドメインの重要性を明らかにすることである。細胞膜にはスフィンゴ脂質やステロールを主要構成脂質とするナノドメイン領域が点在する。ナノドメインはタンパク質の活性や相互作用を制御することにより、植物免疫を含む多様な生理機能に関与することが示唆されているが、ナノドメインの役割については未だ多くの謎が残されている。これまでに、スフィンゴ脂質の2-ヒドロキシ脂肪酸が植物のナノドメイン形成の鍵となることを見出し、その合成酵素FAH1とFAH2の二重変異体fah1fah2においてナノドメインが減少することを明らかにしている。また、主要な免疫タンパク質がナノドメインに局在することも生化学的に示している。本年度は、ナノドメイン可視化プローブGFP-D4Lを恒常的に発現するシロイヌナズナ系統を用いた顕微鏡観察から、病害応答時にナノドメインの分布が変化することを明らかにした。さらに、病害応答時のナノドメイン分布変化は免疫受容体のエンドサイトーシスに依存する可能性を示した。また受容体を含む免疫タンパク質がナノドメインに局在することと、免疫タンパク質によって病害応答時の動態が異なることを、イメージング解析により示した。さらに、既知のナノドメイン局在タンパク質の中には、病害応答時にはナノドメインと動態を異にするものもあることを、イメージング解析により示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、病害応答時にナノドメインの分布が変化すること、またその分布変化が免疫受容体のエンドサイトーシスに依存する可能性を示すことができた。さらに、受容体タンパク質のイメージング解析も行えたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析では主にバクテリアのべん毛成分フラジェリン(flg22)を用いることにより、細胞膜ナノドメインのイメージング解析を行ってきた。次年度は、キチン(糸状菌の細胞壁成分)など他のエリシターを用いた解析も行うことにより、病害応答時におけるナノドメイン動態をより深く解析する。さらに、受容体のエンドサイトーシスによるナノドメイン動態の制御機構を解明する。
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