研究課題/領域番号 |
20K06136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 山梨県森林総合研究所 |
研究代表者 |
長池 卓男 山梨県森林総合研究所, その他部局等, 研究管理幹 (50359254)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ニホンジカ / 摂食 / 高茎草原 / ダケカンバ林 / 剥皮 / 高山帯 / ニホンジカ管理 / 捕獲圧 / 捕獲困難地 / 気候変動 |
研究開始時の研究の概要 |
ニホンジカの高山帯への進出は、その摂食により森林限界や樹木限界のような自然生態系の成立過程に大きな影響を及ぼす可能性がある。また、ニホンジカの個体数管理は、ニホンジカの行動を変化させその分布域をより奥地化させる可能性がある。そこで本研究では、ニホンジカとその個体数管理が森林限界・樹木限界に及ぼす影響を、以下の2つの点を明らかにすることで評価し、今後の高標高域におけるニホンジカ管理への提案を行う。 ① ニホンジカの森林限界・樹木限界への影響はあるか? ② 低標高でのニホンジカ捕獲圧の強弱はニホンジカの高標高での分布に影響しているか?
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研究実績の概要 |
南アルプス山域での標高2200~2800mにおける摂食に影響を把握した。登山道沿いの約30mおきに長さ20mの調査区を設定し(ダケカンバ林16調査区、高茎草原26調査区)、それぞれにおいて、登山道の両側に5m間隔で1×1mの植生調査区を設置した(1調査区あたり10植生調査区。合計420植生調査区)。各植生調査区に出現した植生高2m以下の維管束植物種を記録し、ニホンジカによる摂食の有無も記録した。この調査を2010年、2014年、2018年、2022年に実施した。 全調査で出現した種は161種であった。被食率(各調査区における出現種それぞれの合計出現頻度に対する、被食されていた出現頻度の割合)は、ダケカンバ林では減少傾向が見られた。高茎草原では2018年まで減少傾向が見られたが2022年には増加していた。生活型別に見た出現頻度は、広葉草本の減少が顕著であり、それはダケカンバ林で高茎草原よりも顕著だった。 Indicator Species Analysisを用いて、①各植生タイプでの2010年とそれ以後の調査における指標種、②各調査年で各植生タイプの指標種をそれぞれ明らかにした。①では、ダケカンバ林において、2010年が指標される種は2014年で5種、2018年で8種。2022年で11種と増加していた。高茎草原において、2022年を指標する種はオオバショリマとハンゴンソウであった。②において、2010年のみで指標種であったのは、ダケカンバ林でのサラシナショウマ、トモエシオガマ、タケシマラン、ハクサンイチゲであった。また、2022年のみで指標種であったのはダケカンバ林でのミヤマアキノキリンソウ、ソバナであり、湿性種から乾性種が指標するように変化していた。2018および2022年でのみ指標種であったのは、高茎草原でのハンゴンソウであり、その増加が植生の変化に大きく影響していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国際学会の参加見送ったことにより、論文投稿が遅延したため。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施(学会参加、論文投稿など)をすすめる。
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