研究課題/領域番号 |
20K06143
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
城田 徹央 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (10374711)
|
研究分担者 |
岡野 哲郎 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (00194374)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 強度間伐 / 生物多様性 / 生態系機能 / 有効期間 / 低木種 / 光環境 / ヒノキ人工林 / 樹形 / 種生態学 / 群集生態学 / スズタケ / バイオマス / 間伐 / 低木 / 純一次生産 / モニタリング / 長期的効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題の目的は、強度間伐の長期的な効果を炭素固定機能に着目して明らかにすることである。強度間伐直後には多くの植物種が侵入し互いに競争しあうが、林冠の再閉鎖に伴い侵入種は淘汰される。このとき暗い環境に適応できる種が残り(仮説1)、成長を継続できる(仮説2)。この背景には適応種が樹形を可塑的に変化させ、成長と生産を維持できることが考えられる(仮説3)。その結果として、生物多様性の劣化は生じるものの炭素固定機能は長期的に持続することが期待される(仮説4)。これらの一連の仮説をモニタリング調査とクロノシークエンス調査によって、長期的な視点から評価することで「強度間伐の有効期限」を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
強度間伐から20年が経過したヒノキ人工林の生物多様性について調査し,それまでのモニタリングデータと併せて解析した。林床の光環境は14年目から急速に悪化し,これを境に種多様性,個体数,樹形形成過程,生産性が低下した。一方,残存個体は緩慢に成長を続けており,これ以上急速な枯死は進まないと見込まれた。ただし,残存した種群は低木種であり,針広混交林化やそれに伴う生物多様性の向上は見込まれない。また,光合成産物の多くは上木であるヒノキの幹の生産に使われていた。つまり,低木層の広葉樹による生態系機能の発揮は困難であった。このことから15~20年間が強度間伐の効果が持続する”有効期間”である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
強度間伐の生物多様性向上に対する顕著な効果は最初の5年間に留まった。その後,15年までは低木層としての発達および多くの葉量を蓄えかつ土壌へ供給することで,土壌の改善を通じた生態系機能の向上に寄与すると考えられた。しかし,林冠が閉鎖すると低木層の機能が大きく損なわれる。そのため,強度間伐による生態系機能の改善には15~20年間という効果の”持続期限”が存在する。今回明らかにされた”有効期限”を念頭に置いた森林施業計画を策定することで,引き続き生物多様性と生態系機能を向上させることが可能となる。
|