研究課題/領域番号 |
20K06146
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
中島 千晴 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (20378318)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 樹病 / 病原糸状菌 / 分類学 / 多様性 / 種分化 / 系統分類 / 植物病原菌 / 分類 / 病原性 / 樹木病害 / 糸状菌 / 種多様性 / 菌類バーコード |
研究開始時の研究の概要 |
特定の重要樹木病原菌を属レベルで選抜し、それらを異なる植物群系ごとに分類学的再検討を行い、種多様性を比較検討する。特にPseudocercospora属の種多様性をモデルとして汎世界的に分子系統解析を行い、菌類バーコード領域のデータベース化、菌類多様性と植物との共種分化の仕組み、および当該菌類の多様性ホットスポットを明らかにすることを試みる。また、他の重要樹木寄生菌についても特定の樹種もしくは植物群系毎に種多様性を検討し、いまだ異同が明らかではない種について、植物防疫上重要かつ実用的な情報を提供することを試みる。
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研究成果の概要 |
葉枯、胴枯、枝枯性の重要な樹木病原菌の4属の主要病原菌の分子系統関係や培養性状、病原性の分化を明らかにするとともに、これらの結果を基に世界各地の既知種と比較し、東南アジアから多くの新種や基準となる標本の再設定を報告した。結果、植物に強く依存する種であってもこれまで記録されている以上に種多様性に富んでいること、日本国内でも海流分散や島嶼効果による種分化が見られること、内生的生活を送る病原菌から明らかに病原菌が分化しているこが明らかになった。これは、宿主の視点から植物区系をまたいだ種の分布や移動、さらには種分化が生じていることが主な理由と示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、地球温暖化が顕在化し、一部では植物病害の北上が知られている。これらの病害のうち、宿主に強く依存する樹木病原菌の場合、宿主の移動を伴うことが必要と推察される。しかしながら実際には栽培植物ではない場合、植物区系を宿主植物が移動する必要があるが植物病原の発生記録は、一見、特定の病原のみが分布を拡大しているように見える。本研究では各地で発生する植物に強く依存する植物病原の一部は確かに分布を拡大しているが、それぞれの地域で分化した多様な種も存在することも明らかになった。今後も、重要病原の分布拡大、寄生性の分化につづく種分化、多様性の把握等の研究が、正確な樹木病害診断の上で必要である。
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