研究課題/領域番号 |
20K06152
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
北村 系子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00343814)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 分布変遷 / 島嶼 / 遺存 / 温帯林 / 北限 / ブナ / 分布拡大 / 北進 / 潜在逃避地 / 生態遺伝 |
研究開始時の研究の概要 |
日本列島の温帯林を代表する落葉広葉樹のブナは最終氷期最盛期以降の温度上昇によって北に向かって分布を拡大してきた。花粉分析の結果から、ブナは過去1万年の間に新潟県から北海道まで北上したと考えられてきた。しかしながら、近年の研究の進展により、東北地方北部から北海道南部に氷河期の逃避地があった可能性が指摘されるようになった。本研究ではこれらの北方に位置する現存するブナ林をDNAマーカーを使って解析することにより、隠された逃避地の存在を明らかにしようとするものである。
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研究成果の概要 |
遺存的なブナ個体群における遺伝的多様性について明らかにし,集団動態の歴史推定を行った。ブナ北限地帯の離島である奥尻島、北海道、東北地方のブナ集団よりブナの葉を採取し、母性遺伝する葉緑体DNAと両性遺伝する 核DNAの2つの遺伝的変異情報を用いて、大規模な集団遺伝学的解析を行った。その結果、奥尻島の初期ブナ集団の形成は、最終氷 期最盛期(約2万年前)よりも以前まで遡る可能性が高いことが示され,奥尻島が逃避地であったことを示唆する結果を得た。また、津軽海峡の両岸に位置するブナ林の系統関係を解析した結果、松前半島に逃避地が存在した可能性が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
北半球における温帯林は約2万年前の最終氷期最盛期に南方に分布域を後退させていたものが、その後の気温上昇に伴って北に分布を拡大してきたと考えられてきた。しかし、最近のDNA解析技術とコンピューター解析手法の発展によって、温帯林の植物がこれまで考えられてきたよりも北方で最終氷期に生き延びていたことが明らかになり、氷期の厳しい環境下で生物が逃げ込んで生存していた逃避地(レフュージア)が次々と発見されつつある。一方、日本列島では北海道と日本アルプスの一部を除いて、氷河に覆われていなかったため、各地にレフュージアがあった可能性が高いと考えられる。本研究では温帯林の潜在逃避地が複数箇所示すことに成功した。
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