研究課題/領域番号 |
20K06240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40040:水圏生命科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
内田 勝久 宮崎大学, 農学部, 教授 (50360508)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 銀化 / 海水適応 / ヤマメ / サクラマス / 海面養殖 / 甲状腺ホルモン / 光周性因子 / 銀化変態 / 甲状腺 / 光受容体タンパク / 海水適応能 / ホルモン / 比較内分泌 / 魚類生理学 / サケ科魚類 / 養殖 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、サケ科魚類の銀化現象の生理学的な理解に、“光波長”という新しい視点を導入し、秋銀化発動の仕組みを分子レベルで包括的に理解することを目的としている。具体的には、宮崎県における光波長スペクトルの周年変動を捉え、短日化に伴う光受容器官や光周性因子の発現動態と、銀化に関連する内分泌因子群の動態を解析し、秋銀化の発動を光波長入力から内分泌系の出力に至る一連の生理機構として体系的に理解する。さらに、得られた基礎的知見を基盤として、発光ダイオード(LED)光や銀化に関連する内分泌因子を利用した効率的な人為銀化誘導技術の確立に繋げる。
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研究成果の概要 |
九州山系のヤマメは、短日化の進行する秋に銀化し、宮崎県沿岸では冬季限定のサクラマス海面養殖の種苗となる。九州山系ヤマメの銀化率は低く、海水適応能も不完全であり、これらの課題を克服することが海面養殖の効率化の鍵となる。本研究では、九州山系ヤマメの秋銀化現象を生理学的に理解することを目的とした。その結果、秋銀化に伴い、甲状腺の活性化が認められ、その後、初冬に海水適応能を獲得すること、銀化や海水適応能はは、春期に退行することが示された。また、春銀化を示す北海道系統のヤマメを九州で飼育することにより、異なる系統ヤマメの銀化発動には日長などの環境要因ではなく、遺伝的要因が寄与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
サケ科魚類の銀化には、下垂体を中枢とした内分泌因子が関連することが、春に銀化する北方系統ヤマメや大西洋サケで知られているが、短日化の進行する秋に銀化する九州山系ヤマメではそれらの知見は乏しい。また、銀化発動時期の異なる系統ヤマメを同一の環境条件で飼育し、銀化変態や海水適応能を比較解析した事例も無い。本研究の成果は、単に、秋銀化に伴う内分泌系の機能発現の理解だけに留まらず、日長や光波長といった環境因子の入力と受容、脳内の光周性因子や内分泌因子の機能発現という一連の生理・内分泌機構として体系的に捉えるための基盤成果になり、将来的には、環境因子を基盤とした人為的な銀化誘導技術の確立にも直結する。
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