研究課題/領域番号 |
20K06435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
野口 俊助 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 准教授 (10701295)
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研究分担者 |
森 崇 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40402218)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 扁桃扁平上皮癌 / SLUG / miR-203 / 遊走 / 浸潤 / microRNA-203 / microRNA-145 / 上皮間葉転換 / Slug / fscn1 / 犬扁平上皮癌 / 犬 / 口腔内扁平上皮癌 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、犬の口腔内に発生する非扁桃扁平上皮癌(NTSCC)と扁桃扁平上皮癌(TSCC)の生物学的挙動の違いに注目し、独自に樹立した口腔内扁平上皮癌の浸潤・転移メカニズムをエピジェネティクスの観点から解明することを目的とする。 NTSCCの局所浸潤性とTSCCの高転移性を規定する分子メカニズムを解明することは、浸潤や転移を抑制するための治療標的分子を明らかにすることにほかならず、口腔内扁平上皮癌のQOLと予後を大幅に改善させる治療法の開発につながる。
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研究実績の概要 |
難治性疾患であるイヌの扁桃扁平上皮癌の転移メカニズムの一端を解明することに成功した。口腔内扁平上皮癌ではがん抑制microRNAの一種であるmiR-203が発現低下しており、扁桃扁平上皮癌培養細胞にmiR-203を導入すると、上皮間葉転換マーカーでありイヌ扁平上皮癌の浸潤に重要な役割を果たすSLUGの発現が低下した。同時に創傷治癒アッセイによる細胞遊走能とトランスウェルアッセイによる細胞浸潤能は有意に低下した。また、miR-203 inhibitorの導入では、これらの逆の現象がみられた。Dual luciferase assayにより扁桃扁平上皮癌細胞において、miR-203はSLUGを標的することも明らかとなった。一方、非扁桃扁平上皮癌細胞では、miR-203導入による遊走能や浸潤能の低下はみられなかった。これらのことから、扁桃扁平上皮癌の浸潤、転移メカニズムにおいて、miR-203/SLUGが重要な役割を果たしていることが示唆された。この成果は、現在Oral Diseases誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの扁平上皮癌の浸潤・転移メカニズムは一部明らかにすることができたが、マウス移植腫瘍での転移モデルの作製は至っていないため、in vivoでの再現が現段階では不可能である。これまでに、舌や咬筋への移植によるヒト扁平上皮癌の転移モデル作製が報告されており、同様の手法を用いて転移モデルの作製を試みたが、不成功であった。今後は、ヌードマウスからSCIDマウスに変更するなどの考慮が必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでの浸潤・転移メカニズム解明については、本研究課題で発現低下が明らかとなったもう一つのmicroRNAであるmiR-205に着目して、解析を行うことを予定している。 また、転移モデルの作製については前述したようにヌードマウスからより免疫不全状態が強いSCIDマウスなどに変更して、舌や咬筋への移植によって転移が成立するかどうかを検証する予定である。
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