研究課題
基盤研究(C)
ユビキチン・プロテアソーム系は、オートファジー・リソソーム系と並ぶ細胞内の二大タンパク質分解システムである。プロテアソームによる選択的なタンパク質の分解制御は、広範な生命現象を制御しており、その破綻は神経変性疾患やがんなどの様々な疾患を引き起こすことがわかってきた。ユビキチン化と共役したプロテアソームによるタンパク質分解の分子機構について、この20年余の間に爆発的に研究が進展し、その全体像が明らかにされつつある。一方で、ユビキチン化を必要としないプロテアソームによるタンパク質分解について、その規模や分子機構は未だ不明な点が多く、本研究での解明を目指す。
本研究課題では、質量分析によりユビキチン非依存性プロテアソーム基質(Ubiquitin Independent Substrate : UIS)を複数同定した。その中で、UIS1について、生化学的な解析を進め、試験管再構築系でユビキチン非依存的にプロテアソームにより分解されること、26Sプロテアソームよりも20Sプロテアソームに効率的に分解されることを見出した。また、本課題で改良を進めたプロテオーム解析系を応用し、標的タンパク質分解誘導剤PROTAC(proteolysis-targeting chimera)などの分子機構解析や新型コロナウイルス研究などに大きく貢献した。
プロテアソームは、細胞内の異常タンパク質や不必要なタンパク質を選択的に分解することにより広範な生命現象を制御している。一般的に、プロテアソームはユビキチン化されたタンパク質を選別し分解すると考えられており、ユビキチン化を介さないプロテアソーム分解の分子機構や生物学的な重要性は未だに不明瞭であった。本研究では、それら基質を網羅的に同定し、生化学的な解析を行った。今後はその生物学的の解明など、さらなる発展が期待される。さらに、本研究課題で改良したプロテオーム解析法は、新たな創薬として注目を浴びているPROTACなどの分子機構解析に非常に有用であることが示された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (2件)
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