研究課題/領域番号 |
20K06576
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大出 晃士 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (40612122)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | タンパク質リン酸化 / CaMKII / キナーゼ / リン酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
CaMKIIは、神経の活動履歴を分子活性として記憶する可能性があるリン酸化酵素として知られる。さらに、CaMKIIは睡眠時間制御にも中心的に関わっており、数十分から数時間の時間スケールで物事を制御する可能性がある。CaMKIIはこのような比較的長時間の神経活動履歴を積算・統合しうるものであろうか?現在のところ、 CaMKII活性が長期的に維持される機構や、その活性持続時間が細胞活性によって制御されるかは十分に明らかでない。そこで、網羅的な変異CaMKIIα/β活性測定系を用いて、CaMKII活性化状態の維持時間長を制御する分子機構を明らかにし、個体内でのその意義を問う。
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研究成果の概要 |
自己リン酸化を通して自律的活性調整を行うCaMKIIα/βは、神経の活動履歴を分子活性として記憶する可能性がある分子として知られる。本研究では、CaMKIIα/βがCa2+/CaMによる活性化を受けた後、酵素活性がどのように維持されるのか探求した。タンパク質精製を経ずにCaMKIIα/βの活性測定が可能となる細胞抽出液系の実験系をセットアップし、これを用いて、CaMKIIα/βの酵素活性は活性化後30分~60分程度で抑制され、この抑制は既知の抑制性自己リン酸化とは異なるメカニズムで生じていることが示唆された。また、この活性抑制機構に影響を与える代謝産物やCaMKIIα/β残基の存在が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CaMKIIは特徴的な自己リン酸化に依存した自律的活性制御機構の存在から、“記憶分子”としてシナプス可塑性への寄与が深く研究されてきた。しかし、CaMKIIのリン酸化活性を直接測定する生化学研究の多くは、反応初速度測定や定常状態でのCaMKII-CaM相互作用測定に基づいており、CaMKIIのリン酸化活性持続時間を経時的に見積もった実験は多くない。今回、CaMKIIの活性維持機構について、既知の自己リン酸化とは異なるメカニズムの存在を示し、それに関わるCaMKII残基を見出したことで、睡眠覚醒など比較的長い時間スケールの生理現象とCaMKII活性を結び付けるための、新しい観点を提示できた。
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