研究課題/領域番号 |
20K06591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 長岡技術科学大学 (2021-2022) 大阪市立大学 (2020) |
研究代表者 |
藤原 郁子 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (10742075)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | MreB / A22 / 重合 / タンパク質構造 / アクチン / スピロプラズマ / 繊維 / 光散乱 / 構造解析 / ATP加水分解 / ATP加水分解メカニズム / MreB繊維の可視化 / 細胞運動 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの細菌はペプチドグリカン層を含んだ細胞壁を持つ。ペプチドグリカン層の合成には、細菌版アクチンであるMreBが必須である。MreBは重合して繊維を作って細胞内壁を周回するが、A22を入れるとMreB繊維は減少してペプチドグリカン層が形成されなくなる。しかしA22が、MreB重合過程のどのプロセスを阻害してMreB繊維を減少させるか分かっていない。そこで、TIRF観察によって細菌アクチンMreBの重合ダイナミクスと、MreB阻害剤A22の作用を分子レベルで理解する。
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研究成果の概要 |
MreBは細菌の細胞骨格でアクチンと似た形を持つ。MreBの作用を知るために阻害薬A22が用いられるが、MreB重合ダイナミクスのどのプロセスを阻害してするかは未解明である。A22をスピロプラズマに添加すると、らせん推進運動が止まったため、A22とMreBの相互作用が示唆された。スピロプラズマのMreB3の構造解析から、加水分解サイトの変異が非常に遅いATPaseを引き起こすことを突き止めた。スピロプラズマのMreB5は、繊維が数本横に並んだシート構造を作ること、またMreB5は重合後もATPを加水分解し続けることから、速いターンオーバーで繊維構造を更新する可能性が示唆される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多くの細菌に存在し、細胞の形態維持に必須であるMreBのタンパク質としての機能の解明は難しい。この理由として、菌体におけるMreBの影響を調べる研究が、重合阻害剤A22またはMreB欠損株から得られたものしかなく、MreBの重合・脱重合という、菌の形を保つために必須の動的ダイナミクスの相関が未解明であることが挙げられる。これら病原菌に対し、A22による阻害メカニズムの理解は、分子レベルで病原性細菌の運動メカニズムの理解につなげられる点で意義が大きく、A22を基にして、創薬や病原体診断・検査、治療、及び予防法の開発に応用できる可能性を含む。以上から基礎学術をはじめ、多分野にて役立つ研究である。
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