研究課題/領域番号 |
20K06845
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分45060:応用人類学関連
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
藤原 勝夫 金沢学院大学, 人間健康学部, 教授 (60190089)
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研究分担者 |
矢口 智恵 日本医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00612300)
外山 寛 金沢学院大学, 人間健康学部, 教授 (10172206)
国田 賢治 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (20316003)
清田 直恵 金沢学院大学, 人間健康学部, 准教授 (90559189)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 姿勢 / 注意 / 事象関連脳電位 / 足圧中心 / 筋電図 / 前・後傾姿勢運動 / 眼球運動反応時間 / 前頭前野血血流量 / 圧中心 / 足指圧 / 姿勢制御 / 位置感覚情報 / 脳賦活 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、安静立位からの随意的な前傾ないし後傾姿勢運動の反復動作時の注意機能と脳の活性化に対する、(1)姿勢運動の難度、(2)運動方向の切り換え、および(3)難度の高い姿勢保持位置での足底圧情報の増加の影響を検討することである。注意機能は事象関連脳電位(ERP)によって、脳の活性化はERP振幅、前頭葉血流量、および眼球運動反応時間によって評価する。(1)および(2)の内容を2020-2021年度に、(3)の内容を2022-2023年度にそれぞれ検討する。本研究は、環境適応、運動学習、および認知機能の向上、すなわち、より一層の高い脳の活性化をもたらしうる手段を提供しようとするものである。
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研究実績の概要 |
随意的な前傾ないし後傾姿勢運動の反復動作時の注意機能と脳の活性化に対する、姿勢運動の難度および運動方向の切り替えの影響を明らかにすることを目的とした。 対象は、健康な若年成人9名とした。被験者は、1秒かけて安静立位位置から前傾ないし後傾し、目標位置で1秒間姿勢保持、次の1秒で安静立位位置へ姿勢を戻し、1秒間安静立位を保持する、というパターンの運動を繰り返した。目標位置は、前傾が最前傾-5%足長(FL)の位置、後傾が最後傾+3%FLの位置とした。この位置はブザー音にて被験者に知らせた。この位置を記憶した後、前傾ないし後傾運動をメトロノームに合わせて2分間繰り返した(前傾課題、後傾課題)。その後、前傾・後傾の選択前後傾課題をランダムに2分間課した。各課題とも、安静心拍数に回復していることを確認してから開始した。運動時の注意の向け方を検討するために、事象関連脳電位と前頭葉の脳活動を測定した。加えて各課題の直後の脳の活性化を検討するために、EOG 法にて眼球運動反応時間を40秒間測定した。 事象関連電位は、多くの被験者において、前傾・後傾ともに、トリガ時点に向けて陰性に偏倚した。その陰性ピーク振幅は、前傾よりも後傾の方が大きい傾向が認められた。これは、前傾および後傾位置への注意の向け方の違いを示していると考えられる。前頭葉の脳血流量には、明確な左右差は認められず、課題開始後40秒にピークを示した。平均振幅は、選択前後傾>前傾>後傾の順に大きかった。これは、前頭葉の関与の様相を示していると考えられる。各課題前の安静時の眼球運動反応時間には、有意な差が認められず、課題直後にはそれが15から20ms短縮した。短縮の程度には課題間に有意な差が認められなかった。これは、眼球運動反応に関与する神経系の活性化の様相を示していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
随意的な前傾ないし後傾姿勢運動の反復動作時の注意機能と脳の活性化に対する、姿勢運動の難度および運動方向の切り替えの影響を明らかにすることを目的とした。この目的に向けて、事象関連電位、前頭前野脳血流量、眼球運動反応時間を測定し、それぞれの値に姿勢運動の違いを明らかにできた。また、額の皮膚血流量を測定し、脳血流量を異なる変動を示すことを確認できた。主な結果をまとめると、次のようになる。事象関連電位振幅:後傾>前傾、前頭前野脳血流量:前後傾選択>前傾>後傾、眼球運動反応時間短縮:前傾≒後傾≒前後傾選択。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、令和4年度と同様の測定を高齢者を対象に実施する。高齢者における随意的な前傾ないし後傾姿勢運動の反復動作時の注意機能と脳の活性化に対する、姿勢運動の難度および運動方向の切り替えの影響を明らかにすることを目的とする。加えて、高齢者の感覚・運動機能の改善を目指し、前傾・後傾姿勢保持時に足底からの感覚情報が増すような感覚刺激法を開発する。 対象は、健康な高齢者10名とする。被験者は、1秒かけて安静立位位置から前傾ないし後傾し、目標位置で1秒間姿勢保持、次の1秒で安静立位位置へ姿勢を戻し、1秒間安静立位を保持する、というパターンの運動を繰り返す。目標位置は、前傾が最前傾-5%足長(FL)の位置、後傾が最後傾+3%FLの位置とする。この位置はブザー音にて被験者に知らせる。この位置を記憶した後、前傾ないし後傾運動をメトロノームに合わせて2分間繰り返す(前傾課題、後傾課題)。その後、前傾・後傾の選択前後傾課題をランダムに2分間課す。各課題とも、安静心拍数に回復していることを確認してから開始する。運動時の注意の向け方を検討するために、事象関連脳電位と前頭葉の脳活動を測定する。加えて各課題の直後の脳の活性化を検討するために、EOG 法にて眼球運動反応時間を40秒間測定する。 また、これまでに開発した足指圧測定器を用いて、足指圧を観察しながら、前方・後方での感覚情報が増すような感覚刺激を負荷する。 前傾・後傾時の感覚情報の増加は、高齢者において特に重要であることから、高齢者に焦点をあてて検討する。そのための感覚刺激法を検討し、転倒防止につなげたい。
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