研究課題/領域番号 |
20K06851
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46010:神経科学一般関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
竹内 勇一 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (40508884)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 左右性 / 脳の左右差 / 学習 / 感受性期 / 捕食行動 / 魚類 / 可塑性 / 利き / 捕食 / 行動の発達 / 脳の機能分化 / 遺伝子発現 / 行動生態学 / 神経行動学 |
研究開始時の研究の概要 |
行動の左右性は、ヒトを含む多くの動物で見られ、それらは脳の左右差から生まれる。左右の脳は高度に機能分化しており、その機構解明は脳科学上の重要な課題の一つである。そのような脳の左右差は、脊椎動物で保存された特徴である。一方、利きを司る脳内制御機構や遺伝基盤の解明は、神経回路の複雑さや定量解析など研究戦略の難しさから、ほとんど手がつけられていない。すなわち、「利き」は身近な現象ながら多くの謎が残されている。本研究では、顕著な左右性を持つことで知られる鱗食魚を用いて、その左右性行動に関する回路素子・発達過程・遺伝基盤を調べ、右利きと左利きの脳差異をニューロンレベルで明らかにすることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、鱗食魚をモデルとして、捕食行動の左右性の責任部位、発達プロセス、分子遺伝基盤を調べた。 鱗食魚は、鱗食経験に応じて襲撃方向の好み(利き)が強化される。学習する機会があればいつでも利きは確立できるのか、鱗食未経験の幼魚・若魚・成魚を用いて分析した。どの時期の魚も、初めは左右からランダムに獲物を襲ったが、幼魚は経験を重ねるごとに、生まれつきの顎の形に対応した側から襲撃するようになり、最終的に8割が利きを獲得、若魚も5割は利きを獲得できた。一方、成魚は実験を繰り返してもランダムなままで、1匹も利きを獲得しなかった。つまり、利き獲得には発達初期における鱗食経験が必須であると実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
鳴禽類の歌やヒトの言語は、発達初期に限定された学習により急激に上達する。今回の結果から、魚類の利きも同様に、特定の時期における経験学習に依存して獲得されることが初めて分かった。鱗食魚の利きは非常に明瞭で、それを制御する入力から出力までの脳神経系が想定できる。今後は、利き獲得の感受性期に関わる脳内制御機構を解明したいと考えている。
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