研究課題/領域番号 |
20K06911
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
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研究機関 | 滋慶医療科学大学 (2021-2023) 大阪大学 (2020) |
研究代表者 |
木村 文隆 滋慶医療科学大学, 医療科学部, 教授 (00202044)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 臨界期可塑性 / 4層 / 2/3層 / スパイクタイミング依存性可塑性 / 隣接カラム / 水平結合 / カラム間相互関連 / 2/3層 / 発火順序 / バレル皮質 / 4層-2/3層 / GABA細胞 / フィードフォワード抑制 / GABA |
研究開始時の研究の概要 |
一般に、若い時期には学習能力が高く、言語の習得や、音楽能力の習得もより容易に達成できる。これは大脳皮質にそなわる、臨界期可塑性によって担われていると考えられている。本研究は、そのメカニズムを明らかにするために企画された。これには、大脳皮質の神経細胞の発火順序が大きく関与していることを我々は示唆してきたが、これを実験的に立証するのが本実験の目的である。同時に、発火順序の形成に関与していると考えられている、抑制性の細胞の関与についてもさらなる検証を行う。また、これまで明らかにされなかった神経結合の役割も明らかにする。
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研究実績の概要 |
大脳皮質感覚野は、発達の一時期にシナプス反応が入力依存性に変化する可塑性を示す事が知られ、この時期を臨界期と呼び、このような可塑性を臨界期可塑性と呼ばれている。このような臨界期可塑性は、言語の習得や音楽能力の獲得等とも関連が深いと考えられ、広く大脳皮質の学習と、そのメカニズムを共有している可能性が高く、この現象の発見当初より多くの研究室で幅広く研究が成されてきた。しかしながら、その全貌は未だに明らかにはなっていない。我々はこれまでに、視床皮質投射、4層-2/3層のシナプスで、スパイクタイミング依存性可塑性が起こることを示してきたが、特に4層-2/3層のスパイクタイミング依存性可塑性(STDP)は臨界期の発現に重要な役割を果たすことが示されている。そのような中、これまでに、4層-2/3層間のSTDPは生後12~15日(P12~15)以降に確立する事をスライス標本を用いた実験で示してきた。しかしながら、4層-2/3層間の神経細胞が、感覚入力にドライブされて4層→2/3層順に発火するのが、発達期のいつからかは調べられていなかった。加えて、臨界期可塑性の発現には、隣接する2/3層間の水平方向のシナプス可塑性も重要な一因であると考えられるが、この発達も殆ど調べられてはいない。本研究では、発達を追って、4層->2/3層順の発火が生後何日からみられるか、2/3層の水平方向の可塑性の変化を明らかにすることを目的として進めてきた。これまでに、水平方向のSTDPの変化については基本的なデータがそろってきた。現在、水平方向のSTDPの、細胞内メカニズムについて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
>2/3層の水平方向のSTDPを調べた結果、当初予想した結果と異なった結果が得られた。その原因を検討することによって、2/3層刺激によって、隣接カラムの4層細胞を迂回した結合による反応が隣接2/3層で記録されることが判明した。そのため、そのような反応が起こらないような操作を加えて実験をし直したところ、当初の予想通りの結果が得られ始めた。このため、実験の遂行に遅れが生じたが、この結果も発達期特有のデータとして加えることができ、より精密なデータが得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述の通り、発達期特有の神経回路を刺激しない方法をとって、更にデータを増やし、説得力のある結果を積み上げることができると期待している。
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