研究課題/領域番号 |
20K06915
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分46030:神経機能学関連
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
青木 直哉 帝京大学, 薬学部, 准教授 (50525334)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 刷り込み / アセチルコリン / ムスカリン受容体 / 甲状腺ホルモン / 初期学習 / 記憶形成 / 刻印付け / 神経伝達物質 / GABA |
研究開始時の研究の概要 |
離巣性のニワトリのヒナは、孵化直後から自由に歩くことができる。それにより、動くものを追いかけ親として記憶する刷り込み(刻印付け)が可能となる。刷り込みトレーニング時、記憶形成に必須の働きをするとされる大脳IMM領域で、複数の神経伝達物質の分泌量が多くなる。我々はそれらの中でGABAとアセチルコリンの働きが重要であることが明らかにしてきた。しかし、このGABAやアセチルコリンについて、刷り込み記憶の獲得時の神経活動レベルでの生理作用はまだ不明な点が多い。本研究では、行動薬理学的及び電気生理学的解析により、刷り込み獲得時にGABA系とアセチルコリン系がIMM領域で働くメカニズムを明らかにする。
|
研究成果の概要 |
刷り込みとは、生得的に動くものを追いかける性質を持つヒナが、孵化直後から親を繰り返し追いかけることにより記憶する学習である。刷り込みには、甲状腺ホルモンの働きが重要であることが明らかとなっている。甲状腺ホルモンの脳内濃度は孵化直前に上昇し、さらに刷り込みトレーニングによって上昇する。これまで、甲状腺ホルモンが刷り込みの習得過程にどのように寄与しているかは明らかではなかった。本研究では、まず刷り込みの習得過程を「生得的な追随」、「学習による追随」、「弁別」の3つに分けて解析するための実験装置を開発した。孵化直前の甲状腺ホルモンの上昇が刷り込みの「学習による追随」に寄与することを明らかにした。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
刷り込みは孵化直後に親に対して愛着を形成する早期学習である。本研究の結果は、発生時の甲状腺ホルモンが孵化直後の愛着形成に必要であることを示唆している。今回用いた抗甲状腺剤であるメチマゾールは、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の治療に用いられている。バセドウ病の妊婦には、より影響が少ない抗甲状腺剤チウラジールが処方されることが多いが、胎児期での甲状腺ホルモンの欠乏の影響はまだ不明な点が多く、本研究の結果は抗甲状腺剤を処方する上で参考になると考える。また、今回行ったニワトリヒナを用いた実験系は甲状腺ホルモンの欠乏が脳発達に与える影響を調べるために有用であると考える。
|