研究課題/領域番号 |
20K07057
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47030:薬系衛生および生物化学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
栗生 俊彦 大阪医科薬科大学, 医学部, 特別職務担当教員(講師) (10401374)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 電気生理 / シナプス / 統合失調症 / iPS細胞 / 神経細胞 / 分子イメージング / 電気生理学 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症や自閉症等の精神疾患の病態機序はほとんど不明であるが、発症の一因として、シナプス機能調節の“破綻”が脳神経回路レベルの異常を引き起こしていると予想される。近年、iPS細胞技術の進展により、患者由来iPS細胞から分化させた疾患神経細胞を直接的に扱うことが可能となった。そこで、本研究では、分子生物学的手法、形態学的手法および生理学的手法を結び付けた解析技術を、遺伝的背景や臨床情報が紐付けされた疾患iPS分化神経細胞に適用することにより、統合失調症の病因となるシナプス機能の異常を明らかにする。
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研究成果の概要 |
統合失調症の病態機序を明らかにするために、統合失調症患者から得られた疾患iPS分化神経細胞を用いて、シナプス機能解析を行った。電気生理学的手法の適用により、疾患iPS分化神経細胞では、健常者由来iPS分化神経細胞と比較して、シナプス後電流(mEPSC)の振幅と頻度に異常があることを見出した。興味深いことに、統合失調症多発家系患者では、mEPSCの振幅と頻度が増強しているのに対し、3q29 microdeletion syndrome患者では、mEPSCの振幅と頻度が減少していることが明らかになった。これらの結果は、統合失調症患者においてシナプスレベルで機能異常が生じていることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、遺伝的背景および臨床情報が明らかな統合失調症患者由来の疾患iPS分化神経細胞を用いて、シナプス機能解析を行った。結果は、統合失調症患者においてシナプスレベルで機能異常が生じていることを示唆しているが、統合失調症であっても、患者の遺伝的背景が異なる場合には、異なったシナプス機能異常が起こっていることが明らかとなった。今後、さらに自閉症等も含めた他の患者群のシナプス機能を調べることにより、精神疾患全般の解明に繋がることが期待される。また、本実験系は培養系を用いるため、将来的に統合失調症の創薬研究におけるスクリーニング系としての活用に繋げていきたいと考えている。
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