研究課題/領域番号 |
20K07199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分47060:医療薬学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
廣田 有子 九州大学, 薬学研究院, 助教 (50588259)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | リソソーム / 膜タンパク質 / 抗がん剤 / リソソーム膜タンパク質 / LAPTM4b / 多剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤に対する多剤耐性獲得は、がん治療の妨げとなり長年問題視されている。耐性獲得のメカニズムとして、細胞外へ抗がん剤を積極的に排出するP-糖タンパク質などが知られているが、このシステムに依存しない薬剤耐性が存在している。その耐性獲得の要因として、物質分解を担うリソソーム内への抗がん剤の隔離が示唆されている。リソソーム膜タンパク質LAPTM4βは種々のがん細胞に高発現し、近年、その発現レベルが化学療法に対する感受性に関与することが分かってきた。そこで本研究は、LAPTM4βを新たな多剤耐性機構のコア因子として位置づけ、細胞内輸送機序および生理的機能を解明したいと考えている。
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研究成果の概要 |
本研究では、リソソーム膜タンパク質LAPTM4βが抗がん剤耐性に寄与するかについて細胞生物学的アプローチにより検討を行なった。まず、LAPTM4βがリソソームへ正しく輸送されるためにはトランスゴルジネットワークにおいて、アダプタータンパク質Eps15と相互作用する必要があることを明らかにした。また、LAPTM4β過剰発現時には、抗がん剤の一種ドキソルビシンの核内への取り込みが低下したこと、P-糖タンパク質阻害剤であるベラパミル併用時にはその影響が相殺されたことから、LAPTM4βがドキソルビシン取り込みに抑制的に関与し、その機構はP-糖タンパク質と共役していることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗がん剤に対する多剤耐性獲得は、がん治療の妨げとなり長年問題視されてきた。耐性獲得のメカニズムとして、細胞外へ抗がん剤を積極的に 排出するP-糖タンパク質などが知られているが、このシステムに依存しない薬剤耐性が存在している。その耐性獲得の要因として、物質分解を担うリソソーム内への抗がん剤の隔離が示唆されている。そこで、本研究によりリソソーム膜タンパク質LAPTM4βが抗がん剤の排出を正に制御している可能性を示すことができた。今後は、LAPTM4βを新たな多剤耐性機構のコア因子として位置づけ、抗がん剤耐性に対する治療に既存の方法とは異なるアプローチが可能である。
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