研究課題/領域番号 |
20K07292
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48030:薬理学関連
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研究機関 | 産業医科大学 (2022) 九州大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
有岡 将基 産業医科大学, 医学部, 講師 (20733554)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 細胞接着 / DIF-1 / mTORC1 / 転移 / VCAM-1 / S6K / cell adhesion / metastasis / S6 kinase / がん転移 / 肺腫瘍形成 / メラノーマ / 細胞間接着 / 血管内皮細胞 / beta1インテグリン / 転移抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は細胞性粘菌分化誘導因子(DIF-1)のがん転移抑制機構を解明し、DIF-1の抗腫瘍薬としての臨床応用を目指す研究である。がんにおいて、遠隔転移が著しく生命予後を悪化させるため、がん転移を予防することができれば、康寿命を延ばすことができる。当研究室は抗腫瘍薬のリード化合物として期待されるDIF-1が癌細胞の増殖・遊走・浸潤を抑制することを明らかにしたが、転移成立に不可欠である脈管内に侵入した癌細胞の血管内皮細胞への接着に及ぼすDIF-1の影響についてはまだ検討していない。本研究はDIF-1のがん転移予防薬としての創薬を目指すものである。
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研究成果の概要 |
循環腫瘍細胞の血管への接着に着目し、細胞性粘菌分化誘導因子-1(DIF-1)の抗転移作用のメカニズムの解明を試みた。がん細胞を接種前のみのDIF-1胃内投与で、マウス肺転移モデルの肺コロニー形成が抑制された。DIF-1はがん細胞のヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)への接着を有意に阻害した。DIF-1はがん細胞の接着関連タンパク質の発現量には影響しなかったが、mTORC1-p70 S6キナーゼシグナル抑制を介したタンパク質翻訳の抑制により、HUVECの血管細胞接着分子-1(VCAM-1)の発現量を有意に低下させた。DIF-1は、抗転移性を有する抗がん剤開発のためのリード化合物として期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
手術療法はがん治療の有効な手段であるが、手術によって転移が引き起こされるリスクが懸念されている。DIF-1が脈管内に侵入した循環腫瘍細胞の活性を抑制し、血管内皮細胞への接着を抑制することで、がん転移を防ぐことができれば、周術期のがん標準治療を改革しうる。従来の抗腫瘍薬は、細胞を殺すことで作用するため、有害反応が起こる可能性が高いが、DIF-1は正常細胞に対する影響が少なく、有害反応が少ない化合物であるため、体力が落ちた患者にとっても使用できる有用な治療薬となりうる。
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