研究課題/領域番号 |
20K07312
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 京都大学 (2022) 大阪大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
船戸 洋佑 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60505775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | PRL / 酸性環境適応 / がん悪性化 / lysosomal exocytosis / 酸性適応 / リソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は細胞のpH応答、特に酸性環境に適応する仕組みとその意義 を解明する。悪性がん組織ではpH 6.5などの弱酸性の環境にあるが、この有害な環境下でなぜがん細胞が増殖し続けられるのかわかっていない。私はがん悪性化のドライバー分子PRLの高発現で細胞が最もよく増殖する環境pHが6.5へシフトすることを見つけた。PRL高発現細胞ではリソソーム膜が細胞膜と融合し、高濃度H+などリソソーム内の物質を放出するlysosomal exocytosisが生じることも見つけており、本研究では細胞がlysosomal exocytosisを介して酸性環境に適応する仕組みと、そのがんにおける重要性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は細胞が環境pHの変動、特に腫瘍内で見られる酸性化に適応する仕組み、およびその医学生物学的意義を解明するものである。これまでにがん悪性化のドライバー分子PRLの高発現細胞で見られる環境pH応答性の変化を利用したゲノムワイドなスクリーニングから、候補遺伝子を同定してきた。2022年度は特にその中でもスコアが高かった遺伝子にフォーカスして、その遺伝子破壊株の作成とその評価を行った。その中にはPRLによる酸性環境適応がほぼ完全に消失するものも含まれており、また新たな酸性環境適応に関わる分子を見つけることができている。またPRLによる酸性環境適応の原因と見つけているlysosomal exocytosisについてもリソソーム膜のマーカー分子LAMPの細胞膜への露出度合いをFACSで調べたり、リソソーム中の酵素b-hexosaminidaseの培地中放出などを測定することによって評価した結果、やはりPRLによる誘導を消失できていた。またPRLによるリソソームからと思われるカルシウム放出も消失していた。このことからこれらの新規分子についてはPRLによるlysosomal exocytosisおよび酸性環境適応に必要な分子と考えられ、今後さらに細かく解析してゆく予定である。すでに特異的抗体の作成や、がん細胞での遺伝子破壊株の作成も行っており、内在性蛋白質の局在等の解析や、腫瘍形成能への評価なども含めた詳細な解析を実施することで、当該分子が酸性環境適応に関わる仕組みとその重要性を明らかにできると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り酸性環境適応およびlysosomal exocytosisに関わる新規分子を同定し、その重要性についても一定レベルですでに明らかにできている。
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今後の研究の推進方策 |
作製した特異的抗体を用いて当該分子の局在やそこで果たす役割について調べるほか、免疫沈降法による結合分子解析等も実施する。またがん細胞株での当該分子の破壊株も作成しており、免疫不全マウスに移植することで腫瘍形成能に当該分子の破壊が与える影響についても明らかにする。
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