研究課題/領域番号 |
20K07337
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 克博 京都大学, 医学研究科, 講師 (70739862)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ユビキチン / LUBAC / 直鎖状ユビキチン鎖 / 癌 / 細胞死 / 炎症 / 免疫 / 炎症寛容 / 癌内炎症 / ネクローシス / 癌免疫 / サイトカイン / M1-Ub |
研究開始時の研究の概要 |
ほぼ全ての固形癌組織内では複数の炎症因子が局所的に産生され、特殊な微少環境を作り出すことで癌の進展・悪性化に寄与するが、一方で炎症因子が持つ細胞毒性に対する癌の耐性機構については解明されていない。本研究では、癌特性の一つとして新たに提唱する炎症性微少環境への適応能力(炎症因子が誘導する細胞死を回避し、同時に炎症環境を維持する)の獲得に必要とされるユビキチン修飾酵素LUBACに着目し、LUBACが介在する炎症性微小環境への適応機構の全容を分子レベルで解明することを目的とする。さらに、この適応能力を崩壊させ、癌退縮を誘発する新規抗がん剤標的分子同定への解析基盤の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
慢性炎症環境を有する癌では、ユビキチンリガーゼLUBACが作り出す直鎖状ユビキチン鎖が炎症応答の増進と炎症性細胞死からの保護に重要な役割を担うと考えられる。実際にLUBAC機能を消失させたメラノーマ癌では腫瘍進展速度が著明に低下する。本研究では、癌が持つLUBAC依存的な炎症適応機構を標的とした際に認められる抗腫瘍メカニズムの詳細解明を目指した。研究成果から、癌免疫作用に対する脆弱性の亢進に加えて、癌細胞自身の炎症環境による自滅効果も期待できることを証明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗PD-1抗体を用いる癌免疫療法に近年注目が集まっているが、8割近くの癌では単剤投与による治療効果が期待できないことが分かっており、免疫耐性機構の解明を目指す基礎的研究の実施や、化学療法などとの併用療法による適応癌種の拡大が検討されている。そういった現状のなか、本研究ではLUBAC依存的な癌内炎症寛容機構を消失させることで、癌の免疫感受性が亢進することを証明しており、癌免疫療法を改善する新たな治療標的の一つを提唱した。さらに、正常組織に影響を及ぼすことなく、炎症環境を利用することで癌の自滅を図る新規癌治療戦略に繋がることが期待され、本研究の成果は今後の癌治療において重要なインパクトを与える。
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