研究課題/領域番号 |
20K07360
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
塩田 正之 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30381990)
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研究分担者 |
木村 健二郎 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60597285)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | プロテオスタシス / HSP70 / 腫瘍生物学 / 熱ショックタンパク質 / シャペロン / 転移 / がん / 細胞間接着 |
研究開始時の研究の概要 |
Heat Shock Protein70 (HSP70) が細胞間接着をどのように制御し、そして転移に関わるか、細胞生物学的な解析とマウスモデルを用いた解析にて明らかにする。まず、細胞間接着分子の発現制御機構を明らかにした後、これらの変化がHSP70シャペロン活性に依存するか否かを解析する。さらに、がん細胞に共通の現象かどうかを調べ、膵がん患者の病理組織を用いた発現と予後の相関解析を行う。生体内でHSP70の過剰発現が転移を誘発し、さらにはHSP70の発現抑制が転移抑制につながるかを動物モデルで検証する。解析には自作のHSP70機能阻害抗体を使用し、治療効果についても検証する。
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研究成果の概要 |
ヒト膵癌細胞PANC-1のHSP70欠損細胞、再構成細胞を樹立し、表現型と分子機序の解析を行った。HSP70欠損によって細胞遊走が抑制したが、HSP70再構成によって優位に回復した。プロテオーム解析を行ったところ、HSP70欠損によりアドヘレンスジャンクションに関するタンパク質群が顕著に発現亢進した。特にβ-カテニンはHSP700依存的にリン酸化レベルが変化することでユビキチン―プロテアソーム系で常時分解されていることが判明した。実際に、細胞遊走部位でHSP70とβ-カテニンの発現は逆相関していた。またヒト膵癌患者の癌組織でも両分子が逆相関している部分が存在した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって膵癌細胞ではHsp70がカテニンを分解誘導することで細胞間接着を低下させ、細胞遊走を促進していることが示唆された。Hsp70が結合するコシャペロンに依存して分解を促進するという興味深い知見を得た。転移の初発段階は原発腫瘍の細胞が細胞間接着から離脱することである。がんで高発現したHsp70はカテニンを分解促進し、細胞間接着を低下させることが転移のトリガーになっているのかもしれない。また作出した細胞膜局在Hsp70抗体は顕著な抗腫瘍活性を有していた。有望な創薬シーズを取得すると同時に、細胞膜上のHsp70ががんの生存に必須である可能性や抗腫瘍免疫を抑制しうる可能性が示唆された。
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