研究課題/領域番号 |
20K07363
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
飯塚 佳子 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (60436574)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 肝線維化 / リン脂質 / 星細胞 / 線維化 / 肝臓 / 脂質 / 肝星細胞 / リン脂質代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性肝炎は(NASH)は肝臓に炎症や線維化が惹起され、肝硬変、さらに肝癌といった重篤な疾患へと進行することが知られており、肝線維化の阻止は急務である。本研究ではこの線維化の本体である肝星細胞の活性化において、変動するリン脂質代謝酵素に注目した。リン脂質は細胞膜や細胞内のオルガネラ膜を構成する分子であり、その分子種やリン脂質に含まれる脂肪酸の組成は細胞の機能にとって合目的な組成となっていると考えられる。本研究では肝星細胞の活性化におけるリン脂質組成の変化が肝線維化にどの様な意味をもたらしているのかということを明らかにするととともに、肝線維化の抑制機構の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
申請者は肝星細胞に発現するリン脂質代謝酵素の中で、筋線維芽細胞様細胞への分化過程において顕著に減少する酵素を見出した。初代マウス肝星細胞でリン脂質代謝酵素の遺伝子発現抑制を行うと未分化マーカーであるグリア線維性酸性蛋白質(GFAP) の発現が顕著に減少した。肝星細胞株において、PUFA含有リン脂質の減少はTGFβシグナル伝達因子を活性化し、線維化マーカーのmRNA発現、タンパク発現を誘導した。PUFA含有リン脂質は肝星細胞の未分化状態の維持に重要である可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果はリン脂質脂肪酸組成の変化と肝線維化の関連性を初めて明らかにした。リン脂質脂肪酸組成は臓器、細胞によって異なり、細胞機能にとって理にかなった分布であることが推察されるが、その生物学的意義は不明な点が多い。本研究においてPUFA含有リン脂質が肝星細胞の恒常性の維持に重要であるという重要な知見が得られた。組織線維化は臓器不全の入り口に当たる共通の病態である。組織線維化の共通原理につながる可能性がある点、肝臓のみならず、組織線維化の進行抑制、臓器不全の進行予防といった治療法の確立につながる点で学術的にも社会的に重要であると考える。
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