研究課題/領域番号 |
20K07367
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
大栗 敬幸 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70564061)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ステルスがん抗原 / がん免疫治療 / 腫瘍免疫 / がんワクチン / がん免疫 / がん免疫療法 / ワクチン / がんの免疫逃避機構 / エピジェネティック |
研究開始時の研究の概要 |
正常細胞はがん化初期において高免疫原性のタンパク質を発現する。免疫系は高免疫原性抗原を認識し、がん細胞を排除する免疫監視機構を備えている。しかし、がん細胞は対抗手段として、DNAのメチル化といったエピジェネティック変化によって高免疫原性がん抗原遺伝子の発現を抑制する。本研究では、免疫監視機構を逃れたがん細胞に免疫原性の高いがん抗原を再発現させることでがん細胞を効率的に排除可能ではないかという仮説のもと、『通常のがん組織では発現がほとんど認められない抗原』を免疫の標的とする新しいがんワクチン治療の臨床開発を見据えて、マウス及び臨床サンプルを用いた基盤研究を実施する。
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研究成果の概要 |
患者由来の肺がん細胞および白血病細胞を用いてDNAメチル基転移酵素阻害剤を処理することにより、ステルスがん抗原の発現上昇が確認された。マウスステルスがん抗原を標的としたマウスモデルを構築し、DNAメチル化阻害剤とステルスがん抗原ペプチドを処理した樹状細胞の併用療法が抗腫瘍効果を示すことが確認された。さらに、ペプチドワクチンとの併用によっても腫瘍増殖抑制効果が確認された。ステルスがん抗原SPESP1の免疫原性およびDNAメチル化阻害剤処理した新鮮がん細胞における再発現に関する解析結果が学術雑誌に掲載された。ステルスがん抗原を標的としたT細胞活性化ペプチドが複数の国で特許が認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究結果によって、がん免疫治療法の新しい標的抗原を提起することができた。がん細胞は正常細胞からがん化していく際、生体内で免疫系による選択圧を受けながら増殖する。その過程で免疫細胞を活性化しやすい抗原はがん細胞の中から消失する。本研究によってDNAメチル基転移酵素阻害剤を処理し消失した免疫細胞を活性化しやすい抗原を再発現させることによって効果的ながん免疫治療につながることを明らかにした。がん治療は目覚ましい発展を遂げているが、本研究結果に基づいて開発される新しいがん免疫治療法はその恩恵を受けられない患者に対して、新たな選択肢になるものと考えている。
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