研究課題
基盤研究(C)
本研究では、従来、エストロゲン非依存性として理解されてきた頸部腺がんが、エストロゲン依存性がんであることを再定義し、それに基づき頸部腺がんの新たな治療戦略の提言を目指す。その達成のため、頸部腺がんにおいて①エストロゲン関連刺激が腫瘍に及ぼす効果、②多層オミクス解析によりエストロゲン関連刺激の分子メカニズム、③ヒトパピローマウイルス(HPV)感染とGPR30の関連、を明らかにする。
子宮頸部腺がんでは、ER発現は予後に関連せず、膜型エストロゲン受容体GPR30高発現群は予後不良であった。エストロゲン-GPR30に発現調節されるclaudin-1の欠損株では、細胞接着分子の発現が抑制されるとともに、細胞形態が変化した。頸部腺がん細胞株で、エストロゲン依存性に発現増加するタンパク質を複数同定し、がん悪性化に強く関与するタンパク質を同定した。頸部腺がん周囲には、ER陽性CAFが確認され、間質反応が高度な頸部腺がんは有意に予後不良であり、エストロゲンのがん微小環境への寄与が示唆された。エストロゲンが複数の細胞、カスケードを介して頸部腺がんの悪性化に関与していることが示唆された。
子宮頸部腺がんは増加傾向にあり、若年者で予後不良を示すことが問題となっている。また、通常型の頸部腺がんは、ER発現が陰性であり、エストロゲンの悪性化への関与はほとんど議論されてこなかった。我々は頸部腺がんで膜型エストロゲン受容体GPR30が高発現し、エストロゲン依存性を示すことを初めて明らかにし、その機序の解析を行った。その結果、エストロゲンで発現誘導される複数のタンパク質が悪性化に関与していることを確認した。更に、がん微小環境に関与している可能性を見出した。本研究成果により、頸部腺がんの悪性化機序の理解が深まり、患者の治療戦略の再構築へ向けた知見を得ることができた。
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