研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ヒト大腸癌腫瘍組織内の間質成分に着目し、癌関連線維芽細胞(cancer-associated fibroblast, CAF)の性状を病理組織学的に解析するとともに、T細胞の活性化、分化を制御するCD70-CD27シグナル経路、特にCAFに異常発現するCD70に着目し、CD70陽性CAFによる大腸癌細胞の悪性形質制御、Th17やTregを介した免疫逃避の可能性を分子生物学的・臨床病理学的に解析することを目的としている。さらには、抗CD70抗体による腫瘍免疫療法の可能性を検討することで、新規腫瘍免疫療法を立案する基礎データを提供しうるものである。
大腸癌手術症270例より大腸癌腫瘍組織アレイを作成し、大腸癌細胞、大腸癌間質に存在する炎症細胞や癌関連線維芽細胞の免疫組織学的特徴を解析し、PBK, PHH3, SPATA18, CD47, periostin等の予後規定因子を同定した。同時に、これらの分子が、大腸癌細胞や癌関連線維芽細胞においてどのような作用を有しているのか、培養細胞を用いた実験系を用いて解析し、患者予後を規定するメカニズムの一部を明らかにした。また、胸膜中皮腫細胞におけるCD70発現は、PD-L1と協調して腫瘍細胞の浸潤・遊走能、細胞増殖能、免疫反応を制御することで、患者予後を悪化させている可能性も明らかにした。
本研究では、腫瘍細胞、腫瘍間質双方に着目し、大腸癌細胞におけるPBK、ヒストンH3、またミトコンドリアのquality controlを行うといわれているSPATA18発現の臨床病理学的重要性とともに、p53発現症例が化学療法に対する反応性が良い可能性も明らかにした。腫瘍間質成分に関しては、マクロファージチェックポイント分子CD47の重要性や、大腸癌間質細胞に発現するperiostinの重要性も明らかにした。一方で、胸膜中皮腫細胞におけるCD70発現は、PD-L1と協調してその浸潤・遊走能、細胞増殖能、免疫逃避を制御するも明らかにした。今後、これらの分子を標的とした新規治療法の確立が望まれる。
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