研究課題
基盤研究(C)
マラリア原虫のmtDNAには3つのタンパク質遺伝子のみがコードされており、わずか3つの遺伝子を翻訳するために、約40個のmtリボソームタンパク質が細胞質で合成されミトコンドリアに輸送されることになる。このことは極めて非効率的であるように思えるが、そこには特殊な翻訳「装置」が存在することが示唆される。本研究では、マラリア原虫を含むアピコンプレクサ類から渦鞭毛藻類などの原生生物まで生物群を超えて広く保存されているmtリボソームの翻訳の特殊な仕組みを明らかにすることで、最小限の翻訳機構を備えるリボソームを構成する重要なタンパク質を特定し、生命活動の根幹に迫る。
マラリア原虫のミトコンドリア(mt)リボソーム構成タンパク質の数は極めて少なく、ヒトなど哺乳類のmtリボソームの構造と大きく異なることが予想されている。我々は、原虫mtリボソームをTandem Affinity Purification (TAP)法により単離精製することで立体構造を解明することを想起した。現在、TAP標識付加mtリボソームタンパク質を有する組換え原虫株を2株作製し、これらのタンパク質がRNA及びタンパク質レベルで発現していること、ミトコンドリアに局在することを確認した。また、磁気ビーズを用いた第1段階の免疫沈降によってmtリボソームタンパク質が分離されることがわかった。
一般的に、ミトコンドリアは密度勾配遠心法によって単離されるが、マラリア原虫の場合、アピコプラストと呼ばれる色素体がミトコンドリアと接着しているため単離が困難である。これは、色素体をもった他の原生生物でも同じ状況であることが予想される。本研究によって、ミトコンドリア単離のステップの必要がないTandem Affinity purification法によりミトコンドリア(mt)リボソームを単離する道筋を示せたことで、これまで困難であった他の原生生物種におけるmtリボソームの解析が進み、生命活動の根源に関わるリボソームの構造進化の領域において大きなインパクトを持つものと考えられる。
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