研究課題/領域番号 |
20K07468
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
石渡 賢治 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00241307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Sparganum proliferum / Biology / Therapeutics development / experimental model / mitochondria / enzyme inhibitor / in vitro assay / mitochondrial enzyme / antibody / Experimental model / Proliferative assay / Anthelmintic drug assay / 芽殖孤虫 / 幼条虫の増殖と転移 / 抗寄生虫薬 |
研究開始時の研究の概要 |
芽殖孤虫は、成虫が確認されていない幼条虫であり、これまで人体例は世界で21症例程であるが予後の極めて悪い寄生虫症を起こす。うち7例が本邦例で最新症例は1989年に虎ノ門病院から報告されている。患者の高い致死率は、骨を含む全身の臓器で幼条虫が無秩序に増殖・転移し、さらに既存の抗寄生虫薬が効かないことによる。申請者は、世界で唯一人体例から分離した芽殖孤虫をマウスで継代維持し、腹腔内で増殖し、肝臓、腹膜、横隔膜および肺に病変を形成することを確認している。本研究は、マウス感染系と培養系で芽殖孤虫の増殖および転移様式の一端を明らかにし、同時に新規治療法を開発することを目的としている。
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研究成果の概要 |
芽殖孤虫はヒト体内で無制限に増殖・播種し、発見が遅れると致死的である。有効な治療薬はなく、世界的に極めて稀な寄生虫症であるが本邦での症例率は高い。 マウス腹腔内で維持する孤虫を定期的に回収し、その画像解析から、ほぼ一定の割合で成長するのを確認した。この評価系では、プラジカンテルおよびアルベンダゾールの高濃度投与は効果を認めなかった。孤虫の呼吸鎖酵素は好気および嫌気ともに活性を示し、複合体I阻害剤が極低濃度で阻害した。孤虫と共培養後に色素排除試験で薬剤効果を認めた。超微形態学的に、培養1日のミトコンドリアと核周囲および虫体の外被部分に変化を認め、これら一連の薬剤効果は好気条件でより強力であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
芽殖孤虫症は極めて稀な寄生虫症であるが、無制限な増殖と播種(転移)に加えて、既存の治療薬が効かないということが致死率を上げている要因である。幼虫形が無制限に増殖し転移する条虫は、他にもエキノコックス症を引き起こす多包条虫および単包条虫があるが両種は胚芽細胞の増殖による。個体レベルで成長し、個体数を増やす様式の理解は、生物学的に大変興味深く、得られる知見は寄生虫学を超えて細胞学および発生生物学などの発展のみならず医療への応用が期待される。一方で、芽殖孤虫に有効な治療薬の開発は同時に、有効な治療薬のないエキノコックス症への応用が多いに期待される。
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