研究課題/領域番号 |
20K07492
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
豊留 孝仁 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (90422245)
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研究分担者 |
川合 佑典 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10709546)
久保田 彰 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (60432811)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アスペルギルス・フミガツス / シデロフォア / ガリウムイオン / トリアセチルフサリニンC / 金属イオン / Aspergillus fumigatus / 鉄獲得 |
研究開始時の研究の概要 |
アスペルギルス症はアスペルギルスと呼ばれるカビが引き起こす感染症です。アスペルギルスは健康な人間や動物ではほとんど感染を起こしませんが、免疫が低下した場合には感染が成立し、最悪死に至ることがあります。アスペルギルスの中でもアスペルギルス・フミガツスは最も重要なアスペルギルス症の原因菌であり、その鉄イオン獲得機構は感染に重要と考えられています。この研究では鉄イオン獲得に重要な因子が他にも何らかの機能を果たしていると考えて、その機能の解明を目指しています。
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研究実績の概要 |
アスペルギルス・フミガツスは人獣共通真菌感染症の一つである。日和見感染が主であるが、感染成立後に抗真菌薬を用いた治療でもその致死率は未だに高い。環境中普遍的に存在する菌であることから、感染予防対策も重要であるが、近年のアゾール系抗真菌薬耐性菌の出現などから新規治療薬の開発等も急がれている。 このような背景のもとで、アスペルギルス・フミガツスの生物としての基礎的な研究も進められており、本研究ではアスペルギルス・フミガツスの金属イオンキレート化合物(シデロフォア)であるトリアセチルフサリニンC(TAFC)とその整合性遺伝子に注目して研究を進めてきた。この化合物はアスペルギルス・フミガツスの生育環境における鉄イオン獲得に重要な役割を果たしている。これまでの研究で、我々は3価の鉄イオンと振る舞いの似ているガリウムイオンに注目して検討を進めてきた。その結果、ガリウムイオンがアスペルギルス・フミガツスに対して抗真菌活性を示すことを明らかとした。さらにTAFCを生産しないアスペルギルス・フミガツス株とTAFCを細胞内に取り込むトランスポーターを欠いたアスペルギルス・フミガツス株を作製し、ガリウムイオンへの感受性変化について明らかとした。また、ガリウムイオン以外の金属イオンについても抗真菌活性を検討したところ、アスペルギルス・フミガツスに対して酢酸鉛が抗真菌活性を示すことを明らかとした。また、予備的にこれら金属イオン処理におけるアスペルギルス・フミガツスの網羅的遺伝子発現解析を行い、ガリウムイオン処理において、異物の排出や解毒に関する遺伝子群が更新することを明らかとした。これらの基礎的知見は今後の抗真菌薬開発のヒントとなることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
網羅的遺伝子発現解析について、予備的検討を終了できたが、結果を精緻なものとするための本実験を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
金属イオン処理条件下のアスペルギルス・フミガツスにおける網羅的遺伝子発現解析を実施し、その結果を得る。 また、今後は更に詳細な分子メカニズムを明らかとして、アスペルギルス・フミガツスに有効な抗真菌薬開発へのヒントを得ることとアスペルギルス・フミガツスの生育環境における有害金属イオンとシデロフォアの新たな役割について提案したい。
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