研究課題
基盤研究(C)
病原体やサイトカイン、増殖因子など外来の情報を免疫細胞が認識し、細胞内の様々なタンパク質で構成される情報伝達経路で情報が核内へと伝達され、遺伝子発現を制御することで、免疫応答が誘導される。病原体認識情報伝達では、ITAM-Card9という情報伝達経路が重要であることが知られているが、本研究では、多発性硬化症や喘息の発症や悪化に重要なGM-CSF、IL-5、IL-3などのβcサイトカイン受容体の情報伝達でその経路がどのように機能しているか検証する。
Immunoreceptor tyrosine-based activation motif(ITAM)を有するITAM分子のFcRγやDap12は、マクロファージや樹状細胞で病原体を認識するパターン認識受容体(PRR)の下流で免疫応答に不可欠な役割を持つ。ITAM共役型PRRが病原体を認識すると、Sykをリン酸化し、Card9を介して免疫応答を惹起することはよく研究されている。しかし、サイトカインの情報伝達において、これらの分子の機能の寄与はまだ不明な点が多い。本研究では、GM-CSF受容体のシグナル伝達においてもFcRγ、Syk、Card9が重要な役割をしていることを明らかにした。
本研究は、病原体認識のシグナル伝達で不可欠であるITAM分子やCard9が、GM-CSFの情報伝達にも重要な役割を果たしていることを示したものであり、病原体認識とサイトカインのシグナル伝達に重要な共通分子が存在することが明らかになった学術的意義は大きい。また、GM-CSFは、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病などの膠原病の発症や悪化にも重要な役割を持ち、新たなシグナル伝達分子が明らかになったことにより、新しい治療法開発のターゲットにもなりうる。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
Nature Communications
巻: 12 号: 1 ページ: 2299-2314
10.1038/s41467-021-22620-3
120007170570