研究課題/領域番号 |
20K07580
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
竹下 文隆 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 部門長 (40466199)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | long non-coding RNA / cancer / breast cancer / long non coding RNA / 長鎖非コードRNA / 乳がん / NR2F1 antisense RNA1 |
研究開始時の研究の概要 |
NR2F1 antisense RNA1(NR2F1-AS1)は、乳がんが手術後10年以内に再発した患者の、化学療法前の原発巣の摘出腫瘍において、再発がなかった患者と比較して発現が上昇していた長鎖非コードRNA(long non-coding RNA, lncRNA)の一つである。NR2F1-AS1の強制発現は、細胞増殖を抑制し生細胞を減少させるが、生存した細胞は形態が変化し、コロニーを形成して休眠状態になる。本研究では、乳がんの再発や、抗がん剤耐性獲得に、NRF2F1-AS1の発現が関与する機序の解明を行い、NR2F1-AS1を標的とした再発性乳がんの創薬開発の可能性を検討する。
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研究成果の概要 |
乳がんの手術後10年以内に再発した患者の原発腫瘍組織で高発現していたNRF2F1-AS1は、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体によって、発現が抑制的に調節されていることが示唆された。乳がんのNR2F1-AS1高発現株は培養条件とヌードマウスに移植した場合の両者で細胞増殖の速度が遅くなり、がん幹細胞のマーカーとしても知られるSOX2やSOX9の発現量が顕著に上昇していた。以上の結果から、乳がん細胞の休眠状態(dormancy)の維持にNR2F1-AS1が関与していることが示唆され、NR2F1-AS1の発現制御は乳がん再発の抑制に寄与することが期待された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳がんの化学療法前のがん組織において、同定されている、再発や薬剤耐性に寄与する分子は少ない。さらに、がん細胞がストレスを受けた場合に変動する遺伝子数は、タンパク質にコードされる遺伝子よりも、lncRNAのほうが多いという報告があり、lncRNAの多くは核内でクロマチンの制御に関与してるが、がんの再発や抗がん剤耐性獲得に関与するlncRNAについての報告はまだ少ない。本研究で着目したNR2F1-AS1は、乳がんの休眠状態に関与するlncRNAと推測され、発現機序解明により、再発や抗がん剤耐性獲得に対する予防・治療への貢献が期待される。
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