研究課題/領域番号 |
20K07598
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
北島 正二朗 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (00452590)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | がん幹細胞 / 細胞代謝 / 癌幹細胞 / メタボローム |
研究開始時の研究の概要 |
がんの発生や薬剤耐性の原因と考えられているがん幹細胞は,環境変化に応じてエネルギー代謝を柔軟に変えることで生存をはかることが分かってきている.しかしこれまで,がん幹細胞がこの性質を発揮するためにどのような代謝物質をどのように使うのか,ほとんど解明されていない. そこで本研究課題では,がんと関わる機能性代謝物質を集めた化合物ライブラリーを用い,がん幹細胞が生存や増殖促進のために利用する代謝物質を同定し,その分子機序を解明することを目的とする.本研究によって,これまで知られていなかったがん幹細胞の性質が解明され,がん治療のための新たな創薬が可能となる.
|
研究成果の概要 |
本研究では、がん幹細胞がその生存・増殖や進展のために選択的に取り込んで利用する代謝物質の同定を目的とし、代謝物質ライブラリーを応用したスクリーニングや、マルチオミクス解析を行なった。卵巣がん幹細胞モデルを用いた代謝物質スクリーニングの結果、がん幹細胞が特定の代謝物質に依存し生存・増殖している現象は確かめられなかった。一方、非幹細胞性(分化型)がん細胞ではATPやUTPなどのヌクレオチド3リン酸に依存して生存・増殖していることが明らかとなった。がん幹細胞において核酸類の含有量が多かったことを考え合わせると、がん幹細胞が周囲の分化型がん細胞に核酸類を供給してその制御を行なっていることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、がん幹細胞の代謝様式の新たな側面を明らかにすると共に、周囲のがん細胞との間の細胞間相互作用の可能性を示した。核酸類による細胞間・細胞内シグナル伝達はすでに知られていたが、がん幹細胞に着目し微小環境におけるその役割が示唆される結果は新しい。また本研究で用いた代謝物質ライブラリーや細胞モデル系ががん幹細胞研究において有用であることを示した意義は大きい。 本研究では、がん幹細胞そのものの代謝的脆弱性を詳らかにすることはできなかったが、微小環境における細胞間相互作用をターゲットとした新たな治療法につながり得る提案をしたことで、社会的意義がある。
|