研究課題/領域番号 |
20K07607
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
菊地 英毅 北海道大学, 大学病院, 講師 (60463741)
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研究分担者 |
菊地 順子 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40739637)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | Mitotic slippage / 細胞周期 / 非相同末端結合 / 非小細胞肺癌 / mitotic slippage / DNA損傷修復 / 化学療法 / DNA2本鎖切断 / NHEJ / 肺癌 / DNA修復 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
DNA2本鎖切断(DSB)の修復を標的とした治療によりDNA傷害性薬剤の効果増強が期待できる。DSB修復機構には相同組換え(HR)と非相同末端結合(NHEJ)の2つがあるが、これらの選択や促進にヒストン修飾が強く関与することが明らかになりつつある。申請者らはNHEJを制御する遺伝子の発現が、ヒストン修飾を認識してRNA転写を促進するBETタンパクに依存しており、BET阻害によりNHEJ活性が低下することを報告した。そこでヒストン修飾および修飾マーカーがNHEJを含むDSB修復に与える影響を解明し、このことを応用した新たな癌治療の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
4つの非小細胞肺癌細胞株すべてにおいてパクリタキセル(PTX)曝露によりM期が増加した(mitotic arrest)が、H1299はPTXに対する感受性が低く,mitotic arrestの比率が低く,mitotic slippageの出現割合も他の細胞に比較して有意に高かった。PTX耐性株であるH1299では非相同末端結合(NHEJ)阻害薬の併用によりPTXへの感受性が回復し、DNA2本鎖切断およびアポトーシスが有意に増加した。 以上のことから、NHEJを阻害することによりmitotic slippageによるPTX耐性を克服することができると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
パクリタキセル(PTX)は現在においても悪性腫瘍に対して幅広く用いられる抗悪性腫瘍薬であるが,使用開始から4-5ヶ月程度で耐性化がみられるため,耐性化の克服は喫緊の課題である。我々はパクリタキセル耐性の原因がmitotic slippageであることを示し,その克服として非相同末端結合(NHEJ)阻害薬が有用であることを示した。PTX耐性肺癌に対する有望な治療戦略となりうると考えられ,臨床応用できればPTXを用いる多くの癌患者の予後を延長することができる可能性がある。
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