研究課題/領域番号 |
20K07623
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
中田 晋 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80590695)
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研究分担者 |
飯居 宏美 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (00597768)
藤田 貢 近畿大学, 医学部, 准教授 (40609997)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | がん細胞 / GGCT / ヘッジホッグ経路 / Gli2 / がん幹細胞 / ワールブルグ効果 / Hif1a / Stat5b / 代謝リプログラミング / 低酸素応答シグナル / Hedgehog / 解糖系 |
研究開始時の研究の概要 |
予後不良な悪性脳腫瘍である膠芽腫ではγ-glutamylcyclotransferase (以下GGCT)遺伝子座の増幅とその高発現が報告されている。しかし膠芽腫におけるGGCT高発現がどのような代謝リプログラミングとシグナル伝達系活性化を惹起するのかは不明である。これまでに我々は予備実験の結果、GGCTの強制発現によりHedgehog経路が有意に活性化されることを新規に見出した。そこで本研究では、GGCTの高発現が惹起する代謝リプログラミングがHedgehog幹細胞制御シグナル経路を活性化するメカニズムを明らかにし、がん代謝を標的とした新規治療戦略の構築をその目的とする。
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研究成果の概要 |
GGCTがHif1aの発現を制御する新しい因子であり、がん細胞の好気的解糖系を促進しワールブルグ効果を惹起することを発見した。GGCT強制発現はヘッジホッグ経路関連遺伝子群を誘導すること、ヘッジホッグ経路エフェクター転写因子Gli2が、膠芽腫幹細胞の腫瘍形成能に重要な役割を果たすことを発見した。また、膠芽腫幹細胞の腫瘍形成能にStat5bが必須であることを明らかにし、Myb転写因子の発現低下がStat5b下流で重要な役割を果たすことを発見した。膠芽腫幹細胞において、GGCTの発現抑制によりDhhが減少すること、Dhh強制発現はGGCTの発現抑制による増殖抑制効果を回復することをみいだした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、グルタチオンの合成および分解に寄与するγグルタミル回路を構成する因子であるGGCTが、Hif1aを起点としたがん細胞の好気的解糖系促進を伴ういわゆるワールブルグ効果を制御する新しい因子であることを示し、GGCTががん治療の新たな標的候補として有望であることを明らかにした。さらに、膠芽腫幹細胞の腫瘍形成能に必須となる新規治療標的として、Gli2およびStat5bを同定し、難治性疾患の代表例である膠芽腫に対する新規治療戦略を提唱した。これらの成果は、がん細胞の代謝リプログラミングが阻害ターゲットになりうる可能性を示唆しており、将来的な新たながん治療戦略策定に向け有用であると考えられる。
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