研究課題/領域番号 |
20K07627
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
牧野嶋 秀樹 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30510573)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 肺小細胞がん / 核酸生合成経路 / プリン塩基 / サルベージ経路 / 核酸生合成 / プリン代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
肺小細胞がん組織の網羅的な生体内に存在する代謝産物の解析を行い、肺小細胞がん細胞内にプリン代謝産物が特異的に存在することを同定した。新規合成経路は低分子物質と多段階の化学反応を経てプリンヌクレオチドを生合成するが、サルベージ経路は一つの化学反応によりIMPの生合成が可能である。 肺小細胞がんに高レベルに含有されるプリン関連代謝産物が、サルベージ経路を介して 再利用され、核酸が盛んに生合成されることが肺小細胞がんの速い細胞増殖を可能にする、と仮説を立てた。そこで、肺小細胞がんにおけるプリン塩基サルベージ経路を介した核酸の生合成機構を解明し、がん細胞の増殖を制御する分子機序の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
肺小細胞がんにおけるプリン塩基サルベージ経路を介した細胞増殖制御機構の解明を目指して研究を行った。プリン塩基の生合成経路には、新規生合成経路とサルベージ経路の2種類があるが、HPRT1というサルベージ経路の重要酵素の遺伝子を欠失させたヒト肺小細胞がん細胞株(KO株)を樹立した。そのKO株を用いて、1.葉酸代謝拮抗薬に対する感受性、2.免疫不全マウスに皮下腫瘍を形成して腫瘍進展への寄与、3.同位体ラベルを用いた新規生合成経路とサルベージ経路の利用割合、これら3点の実験を主に行い結果を得た。その結果、一部の肺小細胞がん細胞株において、サルベージ経路が細胞増殖に重要であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺がんの15%程度を占める肺小細胞がんは、予後の悪いがんであり、新たな治療法開発が要望されているがんの一つである。肺小細胞がんは細胞増殖が盛んであり、そのため進行が速く、細胞分裂像が確認される点からも核酸の生合成を抑制する抗がん剤が今後も有効であると考えられる。本研究では、その核酸生合成の制御機構の研究であり、肺小細胞がんを理解する上で重要な研究である。今回、サルベージ経路だけを阻害するだけでは増殖を抑制することができず、阻害剤単剤を用いる治療は難しいことがわかり、今後も引き続き核酸の生合成機構の解明が必要であることが判明した。
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