研究課題/領域番号 |
20K07632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿毛 秀宣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80513390)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 非小細胞肺がん / インテグリン / 治療標的 / 阻害薬 / 肺癌 / 膜タンパク / ITGA2 / ITGA5 / 非小細胞肺癌 / 分子標的治療 / 抗体薬物複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
インテグリン分子を代表とする細胞接着に関わる膜タンパクは微小環境と相互に作用し、がんの浸潤と転移に深く関わる。申請者は公開されているデータベースを解析し、18種類あるインテグリンのα鎖の中でもITGA2とITGA5が肺癌の一部で過剰発現し、高発現は予後不良であることを見出した。本研究の目的は、ITGA2またはITGA5を標的とする治療を実現することである。そのために、まず免疫染色におけるタンパクの高発現が予後と相関することと、ITGA2またはITGA5を強制発現すると悪性度が上がることを確認し、その上で薬物治療の効果をin vitroおよびin vivoで確認する。
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研究成果の概要 |
東京大学医学部附属病院における非小細胞肺癌切除検体およびTCGAデータベースの非小細胞肺癌症例を解析し、ITGA2、ITGA5それぞれの高発現群で術後再発を多く認め、全生存期間の短縮を認めた。レンチウイルスベクターを用いて肺癌細胞株にITGA2、ITGA5をそれぞれ強制発現し、細胞外基質への接着能と遊走能の亢進を認め、阻害薬により亢進が抑制された。ITGA5を高発現する肺癌細胞株にITGA5 siRNAと阻害薬を添加し、接着能、遊走能、増殖能の低下を認め、Ki-67の発現低下を認めた。以上より、非小細胞肺癌においてITGA2、ITGA5は悪性度に寄与することと、治療標的になりうることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
進行・再発の非小細胞肺がんに対する治療は、分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬を中心に確実に進歩している。しかし、多くの肺がん患者にとって効果は不十分であり、新たな治療標的の開発が必要である。本研究により、インテグリンα2とα5はそれぞれ非小細胞肺がんの進展に寄与することが分かり、また少なくとも細胞レベルでは阻害薬が悪性度を抑えることが分かった。非小細胞肺がんに対する新規治療薬の開発に向けて有力な標的が見つかったため、今後は、さらに治療開発を進めることと、非小細胞肺がん以外のがん種におけるインテグリン分子の意義の解明が望ましい。
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