研究課題/領域番号 |
20K07635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
加美野 宏樹 島根大学, 医学部, 特別協力研究員 (00625692)
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研究分担者 |
浦野 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | インターロイキン18(IL-18) / 膵臓がん / 阻害抗体 / 5-フルオロウラシル(5-FU) / IL-18 / Pancreatic cancer / 膵がん / Interleukin-18 / 抗体療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの進展と炎症は強く相関し、がん患者の血清中では多様な炎症性サイトカインの上昇が観察される。インターロイキン18(IL-18)もそのひとつであり、カスパーゼにより切断されて「活性型IL-18」となり機能する。近年IL-18が膵がんの発症や進展に寄与するという報告があるが、がん局所における発現の詳細や、治療対象としての可能性については不明である。最近われわれは「活性型IL-18」を強力に阻害し、かつ免疫組織化学染色にも使用できるモノクローナル抗体を作製・報告した。膵がん組織内の「活性型IL-18」発現状況を詳細に解析するとともに、阻害抗体を利用した膵がん治療応用への可能性を探索する。
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研究成果の概要 |
ヒト膵がん細胞MIA PaCa-2を使って担がんマウスを作成し、5-FU投与後のIL-18活性化を観察したが、活性型IL-18の誘導が検出できなかったため治療実験ができなかった。一方で、5-FUによるIL-18活性化メカニズムについてはpyroptosisが関与することを明らかにした。研究の過程からヒト活性型IL-18はマウスIL-18受容体と反応しないことが判明したため、マウス実験に使える抗体作製に着手し、活性型マウスIL-18阻害抗体の作製に成功した。ヒト膵がん組織を用いた免疫組織化学染色では、活性型IL-18の発現と局在について新たな知見を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、抗がん剤5-FUによる膵がん細胞からの活性型IL-18の産生メカニズムについて明らかにした。5-FUは膵がんを始め複数のがん治療で使用される抗がん剤だが、治療の際に周囲のがん微小環境で炎症が生じる可能性が示唆された。一方で、ヒト活性型IL-18とマウスIL-18受容体が結合しないことを見出した。そのためマウス実験に利用するためのマウスIL-18阻害抗体を作製し、その成果を論文や学会で報告した。この交代は膵がん治療以外にもIL-18の関与が疑われるさまざまな炎症性疾患マウスモデルの治療実験にも応用できる可能性があり、その学術的意義は大きい。
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